仕事

「働く=自分の命を削る」こと | 資本主義の本質と働き方を考えよう  

みなさんは「働く」ということを、どのように考えておられるでしょうか?

  • 苦労して汗水を垂らして働くもの
  • 労働は尊いものだ
  • 自分の成長に繋がる

答えは人それぞれでしょう。

どのように考えるかは、個人の自由だとも思います。

しかし「労働の本質」について知っておくことは、資本主義社会で生きる私たちにとって大切なことだと思うのです。

それは、

  • 私たちはどのような社会に生きていて
  • 「働く」とは、一体どういうことなのか?

について、学ぶことを意味しています、

この記事を読めば、

  • 「雇われる生き方」と「雇われない生き方」の違い
  • サラリーマンにとって大切な心構え
  • 資本主義の構造

がわかります。

「雇われる」か「雇われない」か

アルバイト・就職・起業。

働き方にはさまざまな形態があり、私たちはその中から好きなものを選択することが出来ます。

ここで重要なのは、働き方は大きく二つに分けられるということです。

まず一つ目は、「雇われない」働き方です。

会社を経営している社長さんや、個人事業主の方は、自身が主体となって経営を行います。

上司からの指示・命令を受けることはなく、自分自身がルールです。

  • 出社時間
  • 支払われる給料
  • 休日はいつにするか
  • どの取引先と付き合うか

すべてを個人で決定することができます。

ただし、すべての責任は経営者である自身に降りかかってきます。

  • 利益が出ない
  • 投資に失敗した
  • 社員がいうことを聞いてくれない。

そんな周りのせいにしたくなるようなことも、自分の責任だと考えなければなりません。

自由が手に入る一方で、責任のすべてを負うのは自分自身。

そんな働き方です。

二つ目が、「雇われる働き方」です。

私たちが会社で働く際には、会社と契約を結びます。

「これだけの労働を提供するので、その対価(給料)を頂きます」

という契約です。

言い換えるとこれは、「対価分しか、私たちは働く必要がない」ことを意味しています。

サラリーマンにとって大切なのは、結果よりも協調性

経営者にとっての売上は、企業が生きるか死ぬかの死活問題です。

売上がなければ、社員に給料が支払えず会社を畳むしかありません。

仮に借金を背負おうものなら、倒産後もお金を返し続けなければなりません。

一方でサラリーマンにとって、結果はそれほど重要視されません。

上司から目標を達成するように、発破をかけられることはあっても、もらえる給料に大差はありません。(※主に日系企業についてのお話です。外資系では、成果主義が導入されていることも多いです。)

ある会社では、営業成績トップと最下位セールスマンの給料差が、数千円しかなかったそうです。

私の周りを見渡しても、「仕事のある人/ない人」はハッキリと分かれています。

片方はどんどん結果を出し、仕事が集中する一方で、仕事がなく暇そうにしている人たちがいます。

けれども「忙しい人」も「暇な人」も自分のやれることをやって、少なからず会社に貢献しようとしています。

会社員にとって重要なのは、結果ではなく、「上司の意見を受け入れ、周囲と協調する能力」なのだと思います。

サラリーマンは「理不尽を受け入れる」しかない

そう考えると、サラリーマンはお気楽な身分なのかと言われますが、そんなことはありません。

  • 出勤時間
  • 働く場所
  • 休みの日
  • 誰と働くか

などを「自分で自由に決めること」が出来ません。

休日出勤を命じられたら、「はい!行けます!」と返事をし、会社に転勤を命じられたら、素直に受け入れるしかないのです。

自分の意思で環境をコントロールできないのが「サラリーマン最大の欠点」だと、僕は思っています。

資本主義の構造

会社の利益

サラリーマンの特徴として、正社員、アルバイト、派遣社員といった区分が存在します。

区分によって給料や責任の違いはあるものの、会社側からみると本質的な違いはそれほどありません

「労働者はあくまで労働者にすぎない。労働者を働かせることで、お金を生み出す」

これが資本主義の本質の部分です。

企業は私たち労働者を使って、利益を増やそうとします。

例えば、衣服を販売する会社であれば、服を仕入れて販売します。

200円で仕入れて1000円で売れた場合、その差額の800円が利益となります。

その過程では、仕入れた商品に労働者の「労働の価値」が加わることによって、利益が生まれるわけです。

これを図式にすると以下のようになります。

仕入れ(200円)+労働者の価値(800円)=販売額(1000円)

仕入れ(200円)に労働者の価値(800円)が加わって、1000円で売れるようになるのです。

※資本主義については以下の記事に記載していますので、参考にしてみてください。

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労働者の価値

労働の価値というのは、労働者が商品に手を加えた価値を意味します。

例えば、

  • 服を売るために、キャッチコピーを用意した
  • 服を縫い合わせて加工した
  • 商品を販売先まで運んだ

これらはすべて「労働」によって生み出されています。

この労働によって生まれた価値が、商品の価格に上乗せされるのです。

商品の価値は、「労働」の積み重ねによって決定されます。

労働のすべてが「商品の価格」に転換される

という考え方です。

「会社の利益を増やす」ためにすべきこと

それでは企業が利益を上げるためには、どのような方法があるのでしょうか?

例えばこんな方法があります。

  1. 仕入れを安くする
  2. 労働者を長時間働かせる
  3. 販売額を上げる
  4. 生産性を上げる

1.仕入れを安くする

物を仕入れるときの値段を安くします。

具体的には、

  • 大量に仕入れる
  • 取引先との友好関係を深める

ことで値段を下げます。

私が商社で働いていた頃、上記の方法が実践されていました。

商品は大量に仕入れて、1個当たりの値段を下げます。

あるいは取引先との関係を密にすることで、「君の所だから、少し値引きしとくよ〜!」といったやり取りが日常的に行われていたのです。

2.労働者を長時間働かせる

2015年に電通で働いていた新入社員が、長時間労働を課せられていた事実が発覚しました。

他の飲食チェーンでも、同様の問題が指摘されています。

その影響から「ブラック企業」「ブラックバイト」なる言葉が作られるようになりました。

先ほどお話したように、私たちは企業との間に契約を結んでいます。

労働の対価(給料)分しか働きませんよ

と。

本来であれば、残業や休日出勤をした場合、その賃金を支払う義務が会社にはあります。

けれども実際には、

  • 残業代が支払われていない会社
  • サービス出勤にしてしまう会社

が世の中には存在します。

このように企業は、利益を上げるために出来るだけ安い賃金で労働者を長時間働かせようとします。

3.販売額を上げる

優れた商品を生産して、価格を吊り上げようとします。

そのためには、商品に「より高い価値」を付加する必要があります

価値があればたくさんの人が商品を欲しがるので、高く売ることができるのです。

例えば、LIMEX(ライメックス)という会社があります。

この会社は「石で作られた紙」、通称「ストーンペーパー」を作り出し、世の中に衝撃を与えました。

ストーンペーパーは、ライメックスでしか作れない商品であり、他社には真似できない価値があります。

そのため多少値段が高くても、商品は飛ぶように売れていきます。

なぜなら「ここでしか手に入らない価値」が、ストーンペーパーに加わっているからです。

値段を上げるために企業は、専門的な技術や特別な仕組みを作り、価値を生み出そうとします。

4.生産性を上げる

短時間で、より多くのものを生産しようとします。

例えば、A社はBという商品を作っています。

Bは1分間で10個しか作れません。

同業他社も同じ量しか生産することができません。

しかし、A社は優れた機械を導入することで、1分間で倍の20個を生産出来るようになりました。

このように、新しい技術を発明することによって、生産性を上げようとします。

この代表例が、18世紀にイギリスで起こった産業革命です。

下記の記事で詳しく記載していますので、参考にしてみてください。

技術を磨いておくと、いつの時代も生き残れるかもしれない商社で働いている時、取引先の技術者さんに、機械に対する技術を教えてもらってました。 技術を持っていれば、人を助けることが出来て、業界の...

労働者の負担

利益を増やしたい企業は、より高い価値を商品へ付加するため、労働者に厳しい労働を強いることになります。

その結果、

  • 労働時間が増える
  • 長時間労働が蔓延する

という「ブラック企業」問題へと発展してしまうのです。

また技術革新によって、労働者の負担は減ると思われます。

  • 人間の仕事は機械が変わりにやってくれる
  • その結果、人間は働く必要がなくなるんだ

しかしイギリスの産業革命を振り返るとわかるように、むしろ機械の導入によって仕事は増えてしまいます。

なぜなら、人の仕事を機械が奪った結果

  • 機械を操作する
  • 機械のメンテナンスを行う

といった「他の仕事が生まれてしまうから」です。

さらに新しく生まれた仕事は、より専門的で、より高度なものになる傾向があります。

その結果「機械を使っているはずの人間が、機械に使われる」という逆説が発生してしまうのです。

働くことは命を売っているのと同じ

私たちは、働くことの対価としてお給料をもらいます。

例えば、1か月に20万円の給料をもらっている人ならば、以下のように考えることができます。

一日の労働時間(8時間 × 働く日数(20日)) = 総労働時間(160時間)

給料(20万円 ÷ 総労働時間(160時間) = 時給(1250円)

つまり、私たちは1時間を1250円で提供する代わりに、お給料をもらっていることになります。

そして、その提供している時間とは、私たちの命そのものです。

80年生きると考えた場合、

一日24時間×365日×80年=700,800時間

しか、私たちの寿命はないと言い換えることができるでしょう。

私たちは知らない間に、大切な命ともいえる「時間」を提供して、お金をもらっているのです。

「与えられた寿命」と言う時間を削って、私たちは生きている。

ろうそくの灯火が減っていくように、私たちの命も常に削られ続けている。

そして、「削られている時間=命」 である。

その事実に皆さんは、気づいておられるでしょうか?

最後に

何気なく過ぎていく日々。

そんな当たり前の毎日を過ごしているうちに、知らず知らずのうちに大切な時間は減っていきます。

  • 本当はやりたい事があったんだけどな
  • もっと違う道があったんじゃないだろうか

過ぎ去った時間は二度と戻ってきません。

気づいた時には手遅れになっていた…

そうならないように、もう一度「時間」を使って働くことの意味、について考え直したいですね。

働き方を考えるのにおすすめの本!

僕は現在30歳です。

20代の頃に身体を壊して以来、

  • 僕はどのように働きたいのだろうか?
  • 僕にとって何が幸せなのだろう?

と考え続けてきました。

問いに対する答えは未だに出ていませんが、20代の僕を救ってくれたのは「本」の存在でした。

  • 自分はなんてダメなやつなんだ
  • なんで周りの人たちのようにうまくできないんだ

落ち込み、悩んだときにはいつもすぐ側には本がありました。

今まで500冊以上もの本を読んできた僕が「働き方」について読んだ本の中で、特におすすめのものをご紹介したいと思います。

おすすめ①「道なき未知」 森博嗣 著

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本書は「博士の愛した数式」で一躍有名となった、森博嗣先生のエッセイ本です。
 
森さんは名古屋大学の工学部で教鞭をとる傍、小説家としてデビューしました。
 
理系の書くエッセイ本なので難しいのでは?
 
と思われるかもしれませんが、まったくそのようなことはありません。
 
  • 物事の捉え方
  • 人生で大切なこと
  • そんな風に考える人もいるのか
といった目から鱗のアドバイスが目白押しです。
 
平易な文章で書かれているので、どなたでもスラスラと読み進められると思います。

 

おすすめ⓶「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?」小暮太一 著
 
 
  • 私たちの給料はどのように決まっているのか?
  • なぜ商品はその値段なのか?
  • 労働とはそもそも何なのか?
 
マルクスの資本論は大著であり、なかなか読み進めることができなかった苦い経験を持っている方も多いでしょう。
 
本書なら、資本論から重要な部分を抜粋し、優しく噛み砕いているため、理解しやすいと思います。
 
 

おすすめ③「脱社畜の働き方 ~会社に人生を支配されない34の思考法~」 日野瑛太郎 著

本書は「脱社畜ブログ」を運営されている、日野瑛太郎さんの作品です。2020年以降(2022/3月現在)更新がありませんが、「働き方」や「労働観」について問題提起を行う革新的なブログを運営されています。

本書を読むコトで、「働き方」について深く考えることができるようになります。

詳しくは以下の記事に記載しています。

>>「精神的脱社畜」には会社を辞める必要なんてない | 『脱社畜の働き方 日野瑛太郎 著』

おすすめ④「小商いのすすめ 「経済成長から「縮小均衡」の時代へ 」平川克美 著

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小さく、個人で、少しずつ。

そんな「身の丈にあった働き方」や「週末起業」が注目を浴びています。

本書で語られるのは、ビジネスに対する指南ではありません。

これからの時代を生きていくために、「過去の時代を振り返り、それを土台として生き抜く知恵を養っていこう」といった内容になっています。

以下の記事で詳しく記載していますので、興味がある方は読んでみてください。

>>【小商いの哲学】ヒューマンスケールを超えてしまった日本社会 | 【小商いのすすめ】平川克美 著

>>【小商いのすすめ】現代は誰でも簡単にビジネスができる時代 | 小商いとリスク分散

おすすめ⑤「モモ」ミヒャエル・エンデ 著

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本作はドイツ人のミヒャエル・エンデが書いた作品です。

こどもの頃に読んだことがある方も多いのではないでしょうか?

ただ以前に一度読んだことがある方も、もう一度読んでみることをおすすめします。

本作で作者が伝えたかったテーマは、

「資本主義に警鐘を鳴らすこと」

にあるからです。

せわしなく働き、「未来のために現在を犠牲にする」人々に対して、エンデは一抹の不安を感じていました。

  • 僕たちはなぜ生きるのだろうか?
  • 本当の幸せとはなんなのだろう?

と私たちに優しく問いかけてくれます。

以下の記事で詳しい内容を記載していますので、参考にしていただきたいです。

>>児童書『モモ』は”時間に追われる社会人”の心に刺さる | 「ミヒャエル・エンデ」の資本主義社会論

おすすめ⑥「金持ち父さん貧乏父さん」 ロバート・キヨサキ 著

本作については、あまり良いイメージがない方が多いのではないでしょうか。

なぜならマルチ商法を進める人たちのバイブルとされているため、詐欺まがいの本だという印象を持っている方が多いからです。

僕自身はマルチ商法は許せませんが、本作が「誤解されて伝わっている」のは非常に勿体無いことだと感じています。

本作ではすべての人間を

  • 労働者
  • 個人事業主
  • 経営者
  • 投資家

の4つに分類して、資本主義を分析していきます。

4者それぞれはまったく異なる思想で生きており、「労働者は絶対にお金持ちにはなれない」という言葉が20代の僕には衝撃でした。

  • 時給という働き方
  • 自分が働かずに、お金に働いてもらうという考え方

世の中には賢い人たちがいて、資本主義のルールを知らなければ、何もかもを搾り取られてしまう可能性もあるのだと学びました。

どのようなスポーツであれ、「最低限のルール」を知らなければ土俵には上がれません。

もしもサッカーのルールを知らずにフィールドに立ったらどうなるでしょうか。何が起こっているのかわからない内に試合に敗北してしまうでしょう。

これと同じで、資本主義に生きる私たち(※知らずしらずに参加しています)は資本主義のルールを知る必要があります。

そのために本書は最適だと思います。