- 本を読むことで身につく能力
- 読書のメリット
最近では、本を読まない人が増えているそうです。
一時期「本を読まない若者」が、よくメディアで取り上げられましたね。
といった、若者批判が注目を集めました。
しかし実際の所、若者が活字を読む習慣は失われていません。
あくまで、インターネットの影響によって、
紙の文字を読む文化 → 電子上の文字を読む文化
へと、移行しただけなのです。
kindleやネット新聞が代表するように、電子書籍化の波は押し寄せています。
本屋さんは減少の一途を辿っていますし、「すべての本屋さんが消えてしまった」という自治体も出てきているとのコト。
時代の流れだから仕方ないんじゃないの?
そう言われてしまえばそれまでですが、私はそうは思いたくありません。
時代の中で「生まれるもの」「失われるもの」
時代の節目では、新しいものに注目が集まる反面、その裏では姿を消していくものが存在します。
例えば昭和の頃、商店街には個人経営の帽子屋がたくさんありました。
今では信じられないかもしれませんが、「紳士は帽子を被るもの」という価値観が、その頃にはあったのです。
「帽子を被ることが紳士の嗜みである」という雰囲気が、帽子屋の経営を支えていました。
ほかにはタバコ屋さん。
今では禁煙化が進み、自動販売機でも簡単に買えるため、見る機会は減っています。
人間が生まれて死ぬように、何事も生まれては消えていく。
本屋もその一つにすぎない。
そう言われても、仕方がないのかもしれません。
けれども、僕は紙の書籍から様々なことを教えてもらいました。
- 苦しくて、辛くてたまらないとき
- 道に迷ってしまったとき
本の作者は僕に優しく語りかけ、そっと道案内をしてくれました。
他者の生き方から、人生の楽しみ方や面白さを教えてもらったことは数えきれません。
きっと、いつの時代であれ、その力を必要としている人はいるのではないかと思っています。
暗いトンネルを彷徨っている「あなた」に光が当たりますように。
この記事では、
- 本を読むことで身につく能力
- 読書のメリット
をご紹介します。
暗かった学生時代
まずは、少しだけ身のうえ話をさせて頂ければと思います。
少しだけお付き合いを。
僕は高校時代、教室の片隅で誰とも交わることのない孤独な学生でした。
中学時代には友人がいましたが、環境が変わった途端に居場所を失い、圧倒的孤立。
当時は、「人と会話する方法」がわからなくなり、挙動不審になっていました。
そんなコトが続く内、次第に人の目が怖くなり、自分の殻へ閉じこもるようになっていきました。
もちろん友達は殆どできませんでしたし、精神的にも若干病んでいたのではないかと思います。
自分のコトが分からず、時にはカウンセラーに頼ることだってありました。
自分では身動きが取れず、暗い闇の中を毎日彷徨っているような日々を過ごしたのです。
そんな時、何かを変えたいと思った僕は、本嫌いであったにも関わらず、図書室に引きこもり始めました。
そうした思いが心の底で渦巻いていて、誰かに救いを求めていました。
でも、人が怖い。
人には聞けない。
人に助けを求められないなら、本に助けを求めるしかない。
活字の中から、何とか解決の糸口を見出したいと考えたのです。
その結果どうなったか。
読書は僕に大きな変化をもたらしました。
僕は高校を卒業し、大学生になっていました。
この頃になると、読書にも慣れ、本の内容を要約したり、小説に出てくる登場人物たちの気持ちが、少しずつ理解できるようになってきました。
当初は字を追うのがしんどかったのですが、すらすらと活字を追えるようになり、作者の意図も分かるようになってきました。
読書で身につく能力
1) 相手の気持ちを理解できる
作者の意図と登場人物たちの気持ちを、読み取れるようになること。
この能力は人間関係を築くための、有効なツールです。
人間関係を構築する上では、「会話の成り立ち」や「振る舞いのルール」を理解することが、最も重要だからです。
他者との関係性は、簡単に壊れてしまう脆く儚いもの。
- 言って欲しくないこと
- やられて嫌なこと
など、誰にも触れて欲しくない領域があるのです。
以前の僕はこの領域に、土足で踏み込んでいました。
人が嫌がるコトを平気でして、何食わぬ顔をしている。
これでは周りが納得しないでしょう。
読書はこの事実を僕に教えてくれました。
本の中に登場してくる「嫌な奴」を見ていると、どこか自分と似ているのです。
初めは、
- こんな奴とは友達になんてなりたくないな
- なんでこんな事ばかりするんだよ
なんて風に、バカにしていました。
しかし、なんて嫌な奴なんだと思っていた登場人物は、実は自分自身だったんです。
このことに気づいてからは、少しずつ「相手の気持ち」を考えるようになりました。
- どうしたら喜んでくれるだろう
- どうやったら楽しんでくれるかな
といったように。
そんなことを考えている内に、友人が少しずつでき始めました。
- 聞き上手だね
- 気持ちをわかってくれてありがとう
そういった嬉しい言葉をもらえるようになったのです。
2) 俯瞰する力
「木を見て森を見ず」という言葉があります。
これは、
広い視野で、幅広い視点からものごとを見られるにしなさい
と、自身を戒めるための教えです。
以下は「目の前のことだけ見てしまい、結果として痛い目に遭う」、いい例です。
A商店
- 収益を増やしたいと考える
- 安い目玉商品を作って、人を集めよう
- お客さんは来たけれど、目玉商品しか買ってくれない…
- 経営が苦しくなって倒産
「目先の利益(木)」を優先することで、「お客さんの質 (森)」が見えなくなってしまったんですね。
読書をすれば、今話したようなことは、事前に防げます。
なぜなら、「本を読めば視野が広くなり、物事を俯瞰する力が身につく」からです。
例えば、先ほどの例を俯瞰してみると以下のようになります。
- 人を集めたいと思うので値段を下げる。
- 本当にそれでいいのだろうか?
値段を下げれば、確かに人は集まるかもしれない。
けれども、安い商品にしか人は食いつかないのではないか?
- それに加えて、安い値段に食いつくお客さんは、財布の紐が堅いだろう。
そのため、あまりお金を使ってくれないかもしれない。
- 安い値段に下げるメリットは少ない。
違う方法を考えよう。
といった具合に、様々な状況を考えて、冷静な判断を下せるようなります。
「木」に注目してしまうのは、一つの選択肢に囚われてしまうのが原因です。
そうではなく、他の選択肢を俯瞰して把握できる状態にしておく。
その上で、
- この方法を使ったら失敗するだろうな
- もう少しうまくできる方法はないかな
といったように、思考の幅を広げていくのです。
考える ⇒ 批判する ⇒ 考える
というプロセスを繰り返すことで、思考に奥行きが出ます。
それが「俯瞰する力」へと繋がるのです。
読書のメリット
理解者が増える
本には、「命をかけて刻んだ、作者の言葉」が記されています。
「自身の苦しんだ経験を綴った」本もあるでしょうし、「人生を楽しむための3つの法則」といった類の本もあるでしょう。
いずれにしてもそれらは、作者の過去や境遇を元に記された、魂の言葉であり、読者に向けた温かいメッセージなのです。
また本を読めば「過去の人々」と会話することができます。
例えばエジソンは白熱灯の作成過程を、伝記として残しています。
この伝記を読めば、当時彼が何を考え、どんな思いでモノ作りをしていたかが分かるでしょう。
どのような境遇に生まれ、どのような晩年を過ごしたのか。
人の一生が、そこには綴られているのです。
私たちは辛く苦しいことがあったとき、
といった、悲劇のヒロインになりがちです。
しかし本を読めば、そこには自分と似た境遇に置かれ、状況を克服した作者がいます。
そして温かい言葉で、そっとあなたの背中を押してくれるはずです。
時代や国の異なる人たちが、みなさんの友達になってくれるのです。
最後に
本を読むことで、人の「思考や行動」は変化していきます。
他者の思想を取り入れることで、自己との比較を行い、新しい思想を構築することが可能です。
その過程で人は成長し、日々の生活にもよい影響を与えてくれるでしょう。
ぜひみなさんも、色々な本を読んで人生の糧にしていただきたいです。