リーダーの役割とは一体何なのか?
もしわからなくて悩んでいる人がいれば、下記の動画を見て頂きたいです。
この動画は、現在「炎の講演家」として活躍されている”鴨頭嘉人(かもがしらよしひと)”さんの講演です。
彼の経歴は以下の通りです。
19歳で日本マクドナルドにアルバイトとして入社。
その後、30歳で店長に昇進し、32歳の時には、マクドナルド3300店舗中、お客様満足度日本一、従業員満足度日本一、伸び率日本一を獲得。
最優秀店長として表彰された経験を持つ
現在はマクドナルドを退社されていますが、自分の会社を経営したり、全国各地での講演を行うなど勢力的に活動されています。
明るく前向きな人生を送るには、どうすればいいのだろう?
仕事に打ち込み、全力で人生に向き合ってきた彼の口から語られる言葉は重く、強く、心に深く響いてくることでしょう。
この記事では、以下の3点を学べます。
- 鴨頭さんが最優秀店長として表書されるまでの軌跡
- リーダーに必要なこと
- お店の作り方
“山形店”編
リーダとして大失敗した経験
鴨頭さんは、最優秀店長を獲得するほどのやり手ビジネスマン。
リーダーシップがなく、仕事もできない自分とは縁がない。
そう思っていました。
しかし、鴨頭さんも初めからそのような人物ではなかったそうです。
生きることに悩み、もがき苦しんだ過去によって成長していったのです。
“初めから凄い人”なんていません。
誰だって悩み、苦しみながら成長していくのだと思います。
鴨頭さんが、初めて店長として赴任したのは30歳。
山形県のとある店舗でした。
そのお店の立地は人通りが多く、毎日行列ができるような人気店。
売り上げは上々で、経営状況も良好だったと言います。
実は問題が山積みだった
しかし、表の顔とは裏腹に問題は山積みでした。
スタッフルームに行くと、窓は割れ、椅子は刃物で切り刻まれているような荒れ果てた状態です。
試食会と称して商品を食べる、あるいはレジからお金を拝借するようなモラルのないスタッフが大勢いたのです。
外から見れば、行列のできる人気店。
しかし実情は、
- スタッフがマニュアルを完全無視
- 個人が好き勝手に行動する
その結果、作業の効率が悪くなり、行列が出来ていただけだったのです。
マクドナルドには、作業を効率化するためのマニュアルが存在します。
それに従えば”1人のお客様”に対して”約1分”で商品を提供できるそうです。
しかし実際に掛かっていた時間は、1人につきおよそ3分。
行列ができる要因の一つになっていました。
店舗の改革をした結果、赤字に
これではだめだ!
そう思った鴨頭さんは、店舗の改革に乗り出します。
マニュアルを徹底するために、間違った手順で作業をするスタッフには逐一注意します。
- そのやり方は違うだろ!
- なんで、俺の言う通りに出来ないんだ?
1日のほとんどをお店で過ごし、注意魔になっていきました。
その結果どうなったか?
お店からは笑顔が消え、スタッフは次々と辞めていきました。
黒字経営だったお店の売り上げは、いつしか赤字に転落。
挨拶をしても、スタッフに無視されるようになり、一日中無言でストローの補充をしていた日もあったそうです。
そして、彼は大好きだったマクドナルドが怖くなっていきます。
あれだけ好きだった店舗は、もう恐怖の対象でしかありません。
店に近づけば足が震えて、お店に入れない。
出社することが出来なくなりました。
そして彼は、青森支店への移動を告げられることになります。
人を変えようとしてはいけない
果たして、何が間違っていたのでしょうか?
確かに鴨頭さんの行なっていた指摘は、“正しいこと”でした。
マニュアル通りにやれば、お店の回転率が上がる。
そうすればお店の経営状況は良くなり、スタッフにも還元できますよと。
けれども、“正しいこと”が必ずしも受け入れられるとは限りません。
人間は”感情の生き物”です。
どれだけ素晴らしい言葉でも、言い方一つで受け入れられず、反発を受けてしまうこともあるのです。
また最もやってはならない、”他者を無理やり変えようとした“ことも失敗の原因でした。
かの有名な心理学者”アルフレッド・アドラー”は次のような言葉を残しています。
健全な人は、相手を変えようとせず自分がかわる。
不健全な人は、相手を操作し、変えようとする。
自分が変わるよりも先に、相手を変えようとする。
これは多くの人が手を出しやすく、同時に失敗しやすい過ちの一つです。
私たちは人に指示されたり、強制されたりすると、やる気を失って反発してしまいます。
たとえそれが正しく、本人が「本当にその通りだ!」と思っていてもです。
このような人間の微妙な心理を理解できていなかったのが、鴨頭さんが失敗した理由だったのでしょう。
人間の心理は”繊細”で”複雑”です。
“正しいこと”が常に受け入れられるとは限りません。
“青森店”編
最も売上の悪い店舗
次に赴任した青森支店は、マクドナルドの全店舗中、最も売り上げが悪い店舗でした。
何故かというと、当時のマクドナルドは、青森県でほとんど知られていなかったからです。
ハンバーガーといえば、モスバーガー。
“M”のトレードマークはモスバーガーのものだったんですね。
そのような状況下で、どうやってお店を作っていったのか。
“未来の可能性”を信じる
はじめに鴨頭さんは、次のことを心に決めたそうです。
もし、以前のように注意ばかりして、他者を変えようとすれば、いくら正しいことを言っても誰もついて来てくれない。
“今”の何も出来ない、彼ら・彼女らではなく、”未来の可能性“を信じよう。
失敗しても挑戦し続ける。
そして絶対に、日本一の店舗にする。
そのために、未来を信じようって。
相手を変えようとするのではなく、”相手を信じる“ことに決めたのです。
当時の店舗スタッフの大半が、高校生アルバイトで構成されていました。
ちなみにマクドナルドのスタッフ採用後には、オリエンテーションや店舗の説明・接客の仕方などを指導するのが一般的だそうです。
マニュアルに従えば、これが教育に適した指導方法なのでしょう。
しかし彼が行ったオリエンテーションは少し違っていました。
“働く意味”をまずは共有する
採用した後には、店舗の向かい側にある、モスバーガーに新人さんを連れていきます。
そしてこう語りかけるのです。
「ほら見てごらん。これだけ沢山のお客様たちが楽しそうな笑顔で食事をしているよ。素晴らしいことだよね。
飲食店というのは、実は商品を売っているのではない。
商品とサービスを通じて、お客様に笑顔を届けるのが仕事なんだよ」
はじめに仕事の”目的”と”意義”をスタッフに伝えたんです。
- 飲食店の仕事は、商品を売る仕事ではない
- 食体験を通して、お客様を笑顔にすることだ
これは、鴨頭さんがアルバイト時代に受けた教えでした。
変わり始めるスタッフたち
さて、全店舗中最下位のお店を日本一にする挑戦が始まりました。
そのためには、店舗にお客様を呼び込み、売上を確保しなければなりません。
ある日、アルバイトスタッフの一人”なかやまよしこ”さんがこんな提案をしてきました。
お店に来てくれた子どもたちの名前で、この木を一杯にするんです。
じゃあ試しにやってみるか!
そこからお店はどんどん変わっていきます。
スタッフたちは、子どもたちが来るたび、「前回も来てくれたよね?お名前なんて言うの?楽しんでいってね」
そう言った声かけをするようになりました。
全員が”経営者”の店舗に
また子どもたちの親に対しては、店舗の商品をお勧めし、サービスを進んで紹介します。
自らの意志で行動する彼らは、どこの企業も欲しがる”自律型人材“へと成長していきました。
彼女をきっかけに、他のスタッフからも、どんどんアイデアが生まれてきます。
店舗はアイデアで溢れ、自ら行動するスタッフばかりになりました。
自ら行動するスタッフというのは、経営者と何ら変わりません。
目標を立て、達成するための試行錯誤を繰り返す。
その姿は経営者そのものです。
最下位の青森支店は全員が経営者のお店へと成長していったのです。
その結果、この店舗は、
- お客様満足度日本一
- 従業員満足度日本一
- 伸び率日本一
を実現することになります。
なぜ私たちは働くのか?
なぜ彼らは自ら考え、行動し、これほどお店に尽くすようになったのか?
不思議ではありませんか?
だってアルバイトなんて、時給はたかだか数百円です。
一生懸命働いても、適当に働いても給料は変わりません。
それにも関わらず、彼女たちは、自分の提案したキャンペーンが成功しているかを知るために、休日にまで店舗に足を運ぶんですよ?
おかしいじゃありませんか。
仕事の”楽しさ”を知る喜び
しかし、答えはいたってシンプルです。
彼女たちには、”仕事の本当の楽しさ”を体感できる環境があったからです。
仕事というのは、自分が主体となり、成果が見えたときに”快感”を感じます。
この”自分が主体“というのがとても大事です。
多くの店舗では、アルバイトは主体となることができません。
できたとしても、あくまで仕事の一部を担っているだけ。
仕事ではなく”作業“の作面が強いのです。
考えた企画や行動の結果が、すべて数字として返ってくる状況など、そう多くはありません。
けれども、この店舗では、スタッフそれぞれがお店の経営状況を把握していました。
お店は儲かっているのか、それとも苦しい状況にあるのか。
赤字か黒字かといった損益分岐点までスタッフは把握していたのです。
そして店長は、それぞれが提案したキャンペーンの結果をスタッフに報告していました。
そうすることによって、「労働の成果が分かり、どれだけ仕事に貢献できたのか可視化できる」という仕組みになっていました。
自分がお店の役に立っている。
そうした”承認“が与えられることによって、青森店は素晴らしい店舗になっていきました。
最後に
- 周囲から賞賛される
- “仕事の結果”を把握できる
このような環境であれば、私たちは生き生きと働くことができます。
もちろん、安い給料でこき使われて可愛そう。
ブラック企業じゃないか。
そんな意見もあるかと思います。
しかし実際に、自分の意見が採用され、仕事の結果が自分に返ってくる。
これには何物にも代えがたい”楽しさ”と”中毒性”があるものです。
鴨頭さんの著書、「人生で大切なことはみんなマクドナルドで教わった」に働く極意が書かれていますので、ぜひ読んでみてください。