最新技術を追う重要性については、はなはだ疑問を持っている。
人口知能、ディープラーニング、VRといった技術が注目されるに伴って、
「最新の技術こそがすごいんだ」
「今はpythonだ」
といったように、新しいものばかりが素晴らしいものであるかのように語られてしまう。
でも実際には、コンピュータの仕組みなんて数十年もの間、変わっていない。
どれだけ優れた技術も、コンピュータの基礎を基盤にした応用にすぎないんです。
技術が進歩するほど、人間は退化する
確かに手取り早くアピールする技術が欲しいのであれば、新しいものに飛びつくのもアリだとは思います。
より簡単に、誰にでもわかるようにまで噛み砕いた、新しく、華やかな技術は多くの人を惹きつける。
そして、簡単に手を出せるとなれば、同じような考えの人が手を出してしまい、表面的な技術だけをなぞる人が大量に溢れかえるのです。
これは言うなれば、ミッション・オートマ車の関係と同じだと言えるでしょう。
今では誰もがオートマ車に乗っており、ミッション車に乗れる人は大幅に減少した。
オートマ車は、ミッション車に必要だった、
ギア変速を不要にし、アクセルとブレーキだけでの運転を可能にしたからです。
ミッション車には難しくて乗れなかった人も、オートマ車なら操作が簡単だから運転できるようになった。
より簡単に、誰もが使えるように。
これが、技術革新の目的です。
つまり、簡単になった最新技術においては、
技術力は向上しているけれど、人間の能力は退化している
と言えるんだと思う。
その技術をなぜ使うのか?
なぜ、”最新技術を使うのか”を考えることが大切です。
目的もなく、技術を覚えたところで使う機会は多くないからです。
実際のIT業界においては、新しい技術を次々と取り入れているような会社は少ないです。
新しい技術を取り入れるにしても、”その技術を使う理由”を説明できなければなりません。
まずは、今抱えている課題に対して、既存の技術で対応できないかを、検討してみるべきです。
既存のものと比較してみることで、初めて新しい技術の素晴らしさがわかる。
何が改良されて、どの部分が良くなったのか。
ただ新しいものを使えば良いというのでは、技術に対する知見は積み重なっていきません。
問題解決能力は向上しないのです。
”基礎が大切”という使い古された言葉にこそ
大切なのは、新しいか古いかではありません。
その技術を使って、問題に対する最適解を導きだせるかが重要です。
そのためには、基礎的な知識は最低限持っておく必要があるし、地盤が固まっていないのに知識を積みあげたとしても、
それは砂上の楼閣にしかならないです。
いずれ、メッキは剥がれ落ちるし、最新の技術はいずれ、使い古された技術に成り下がってしまう。
そうなった時に試されるのは、基本的な技術力を持っているかではないでしょうか?
どんなスポーツでも基礎の大切さが、語られます。
学校の勉強だって、地味な基礎問題を何度も解くことで、応用問題が解けるようになる。
それなのに、IT技術に至っては、流行りの技術(応用)ばかりが素晴らしいとされて、
地味な基礎が疎かにされているように思う。
技術を楽しむ分には否定はしませんが、
それだけでは技術者としては、不十分なのかもしれませんね。