仕事

業務を効率化したところで、残業はなくならない?

業務を効率化しよう!

働き方改革を含め、多くの企業で「働き方を変えていこう」という流れが出てきている。
その方法として、残業時間の削減とともに語られるのが、”業務の効率化”である。

非効率な業務を放置している職場は多いだろうし、それらを効率化すれば、残業せずに定時で帰宅できるのではないか。

よし!それじゃあ、どんどん仕事を効率化して生産性をあげよう。
みんなで残業なんかしていないで早く帰れる職場を作ろう!

よく語られる話ではあるけれど、本当にこの方法でうまくいくのだろうか?

確かに、無駄な業務を省いて、効率化することは大切だ。
たとえば、単純に1時間でできる仕事が30分でできるようになれば、大幅な削減になるだろう。

しかし、この方法で残業がなくなる可能性は極めて低い。

業務を効率化しても、仕事は際限なく増え続ける

経営者の多くは、できるだけ収益を増やし、事業を拡大したいと考えている。
仮に1時間でできる仕事が30分でできるようになったのであれば、いつの間にか、それは”当たり前”になっていく。

つまり、今後は、「当然30分でできるよね?」と言われることを意味する。

そうなれば、余った30分には、別の仕事が入れられるし、いくら業務を効率化した所で、仕事は際限なくに増え続けることになってしまう。

労働者から見れば理不尽きわまりないかもしれないが、企業にとって、業績を伸ばす方向に向かうのは当然なのである。

上場している企業は、投資家たちからの出資を受けて運営されている。
彼らは、会社が儲かるほど配当が増えるので、企業が際限なく金を生み出すことを要求する。それに資本主義である以上、他社との競争は避けられないし、いつ会社が倒産するかもわからない。

そんな状態では、「常に成長し続けなければ」という不安が、さらなる業績の追求に転換されてしまう

効率化によって生まれた剰余部分は、さらなる業績向上への投資に向かってしまうのである。

必要なのは業務の効率化ではなく、”企業に対する規制の整備”である

これらのことを鑑みると、残業時間を削減するために必要なのは、業務の効率化ではなく、”企業に対する規制”なのだと思う。

「○○時以降は電気を消灯しなさい」「○○時間以上の労働をしてはいけない」といったように、無理やり制限を設けることが大切なのだろう。

制限を各企業に任せるというレベルではなく、国レベルで法律の整備を整えていく。各会社が自分たちで考えてやるだろう、というレベルでは、決して残業はなくならない。極めて強い制限を一律でかけ、その上で勝負できる環境を整える必要がある。

他社との競争に勝つ必要がある以上、企業は必ず効率化に向かう。
上限の中で、いかに生産性を上げ、業務を進めていくかを試行錯誤するはずだ。

最後に

残業を削減するためにまず行うべきなのは、効率化ではなく、制限を設けることである。

本来行うべき順番が逆であって、「制限を設ける→業務効率化」の順に対応策を考える必要がある。

ここで覚えておいて欲しいことは、「業務の効率化=残業がなくなる」では必ずしもないということだ。

業務の効率化は素晴らしいことだけれど、労働者にとっては自分の首を締める可能性もある。それだけは、心に留めておきたい。