人気お笑いコンビ、ピース又吉さんの『東京百景』を読みました。
「東京は果てしなく残酷で時折楽しく稀に優しい。」と帯に書かれている通り、又吉さんが上京してから出会い感じたことを、東京の街並みに沿って綴る温かなエッセイなります。
又吉さんが東京の各地を散歩しながら思ったこと、経験したことが独特の視点で書かれており、思わずクスッと笑ってしまう話も多いです。
学生時代の思い出や死神に間違えられるという自虐ネタがあり、普通の人なら気にもしないことに敏感に反応する様子が、また面白いです。
日常の風景をこんな風に見ることが出来たなら、毎日を楽しめるのかもしれない。
そう感じたので、当記事では又吉さんから「日常に映るものの捉え方」を学んで行きたいと思います。
“役に立たないこと”を考える
日々の生活で、「役に立たないこと」を考えるのは時間の無駄だと思われがちです。
けれども本当は日常のちょっとしたことの中に、楽しみや面白さが潜んでいるのかもしれません。
又吉さんが、ゴミ箱の近くに落ちているゴミを見て感じたことを、少し引用したいと思います。
ゴミ箱とゴミ箱の間に、ゴミが落ちている。
なぜだろう?
燃えるゴミならば「もえるゴミ」と書かれた箱に棄てればいいし、燃えないゴミならば「もえないゴミ」と書かれた箱に棄てるべきだ。
間に落ちているということは、燃えるゴミでも燃えないゴミでもないのだろうか?
ではなんだ?
「もう燃えたゴミ?」、「燃える気がないゴミ?」、「今まさに燃えているゴミ?」、「ちょっとだけ燃えないゴミ?」、「燃えすぎるゴミ?」、可能性はいくらでも考えられるが肉眼で捉えない限り、それは簡単に燃えるティッシュのように見えた。
「ゴミを見ただけで、こんな面倒なこと考えて何になる?」と思われるかもしれません。
そんなことを考えたところで、何の役にも立たないし無駄じゃないか。
何も活かせる部分などない、と。
確かにこんなことを考えた所で日常生活を送る上では”役に立つことはない“かもしれません。
しかし物事を空想的に、違った角度から捉えることで、新しいもの・ことを創造する力が身に付く可能性は高いです。
そして何より、毎日が色付き始めるのではないかと僕は思うのですね。
毎日楽しく過ごすために
たとえどんなに些細なことであっても興味を持つ。
もしそんなことが出来れば、つまらない・面白くないと思いながら過ごしていた毎日は、明日が来るのが待ち遠しいほど楽しい日々に変わっていくのかもしれません。
極端な話かもしれませんが、世界的に見ても高いと言われる日本の自殺率は、大幅に減る可能性すらあります。
どうでもいいことが毎日に”楽しさ”というエッセンスを加える。
これは意外と大切なことかもしれないと、本書を読んで学びました。
最後に
本書では、「又吉直樹」という人物の魅力がふんだんに詰め込まれています。
独特の感性を持ち、厳しいようで温かみのある文章。
本人ことをよく知らない人が読んでも、きっと夢中にさせられてしまうはずです。
そして、みなさんは作中に登場する各地を巡ることになるでしょう。
僕自身がそうであったように。
気になる人はぜひ手にとってみてください。Kindle版もあります。