私たちの社会では一般的に、”外向的な性格“の方が生きやすいです。
- 会社での飲み会
- 大勢でのパーティ
そのような場に行くと、コミュニケーションの上手な人たちばかりが注目されます。
上手く振る舞えない人間は、気まずい思いをしますので、大勢の場に行くのが億劫になることもあるはずです。
自分を卑下してしまい、辛い思いを抱えている方も多いでしょう。
では、本当に”内向的”な性格の人は「外向的な人に比べてダメな人間」なのでしょうか?
僕自身は、圧倒的に”内向的”な人間です。
人混みに行くのは大の苦手ですし、大勢の場で話したりすると、顔が赤くなり言葉が出なくなることも度々です。
これまでの人生においても、その性質のせいで数多くの苦しい思いをしてきました。
けれども生きていく上では、そのような性質とも向き合う必要があります。
何か打開策はないものだろうか?
そう悩んでいた時に、一冊の本と出会いました。
それが、スーザン・ケインさんが記した、『内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力』という書籍です。
本書を読めば、ネガティブな側面ばかりが注目される、“内向的”という特性の素晴らしさを理解できるようになります。
どちらが良い・悪いではなく、あくまで“個人の性質”が違うだけ。
そのことを知ってから自身の中で、考え方が180度代わりました。
あなたの悩みは、あなたの特性に気づくことで解決に向かうでしょう。
自身の思考と行動パターンを知り、得意・不得意を見つめ直すことで新たな可能性が開けてきます。
この記事では
- 内向型・外向型の特徴
- 内向型・外向型を分けるもの
- 内向型人間に適した場所とは?
を中心にご紹介したいと思います。
内向型・外向型はあくまで、人間の思考や行動パターンの違いに過ぎません。
内向型人間・外向型人間ってそもそも何?
スイスの心理学者”ユング”は、人間にはおおよそ2種類のタイプがあって、物事に対して”内向的な人”と”外向的な人”がいると指摘しました。
- 自身の外側からパワーを受け取る → 外向型人間
- 自身の内側からパワーを受け取る → 内向型人間
例えば、
- 一人でいる時間が好き
- グループよりも一対一を好む
- 考えてから話す傾向がある
といった性質を持っている人は、”内向型”の性質があります。
内向性とは?
“内向性”とは、以下の性質を指します。
「興味や関心が自己の内面に向けられ、主観的、内気・孤独で思慮深い反面、実行性・社会性に乏しい性格特性」
社会性に乏しいため、新しい出来事や人と遭遇してもすぐに適応出来ない、あるいは上手く振る舞えなくて後悔してしまうことが多いです。
反対に、自身の考え方や想いを重要視するため、一度心に決めると目標に向かって突き進むことが可能です。
彼らがなりやすい病気としては、
- うつ病
- 精神衰弱性
が挙げられます。
これは他者との関係が上手く結べず、自身の殻に閉じこもることで、精神的に弱ってしまうからです。
外向性とは?
一方外向性は、以下の性質を指します。
「活動的で、感情をよく表にあらわし、社交的で周囲との関係性を元に成り立っている状態」
外向的な人は、新しい事柄にも動じません。
積極的に周囲へ働きかけ、環境に適応できる力を持っています。
ただし、交友関係が広く活動的な一方で、思慮が浅く解決策が表面的になりがちです。
彼らがなりやすい病気としては、
- ヒステリー
- 躁うつ病
が挙げられます。
他者への関心が強いため、周囲の関心を惹きつけようと、どうしても自己顕示欲に走りがち。
外にエネルギーを向けすぎる一方で、自分の心を軽視してしまうからです。
“内向型”と”外向型”を分けるものとは
人の性質は大人になっても変わらない?
実はスーザンケイン自身も、”内向的”な性格に悩んでいた一人です。
希望の仕事である弁護士にはなれたものの、彼女は人前で講義をする前には、いつも恐怖心を抱えていました。
そのような悩みの中にいました。
しかし、20世紀の偉大な発達心理学者であるケーガン教授によって、彼女に一筋の光が差すのです。
ケーガン教授は、次のような調査を行いました。
- 子どもたちの乳児期から思春期までを追跡調査
- 彼らの性格の変化や生理機能を記録
その結果、
将来赤ん坊が”内向的”または”外向的”のどちらに成長するかを予測出来る
ことが分かったのです。
赤ん坊が将来、内向型/外向型のどちらになるかを予想できる = 人の性質は”大人になっても変わらない”
“刺激レベル”で性格は変わる
教授が行った研究内容は以下のものでした。
ケーガンらは、生後四ヵ月の赤ん坊に慎重に選んだいくつかの新しい体験をさせた。
録音した声を聞かせたり、色鮮やかなモビールを見せたり、先端をアルコールに浸した綿棒を嗅がせたりしたのだ。
それらの未知の体験に対して、赤ん坊たちはそれぞれに反応した。
全体の約二〇%は元気よく泣いて、手足をばたつかせた。
ケーガンはこのグループを「高反応」と呼んだ。
約四〇%は静かで落ち着いたままで、時々手足を動かすものの、さほど大きな動きではなかった。
ケーガンはこのグループを「低反応」と呼んだ。
残りの約四〇%は「高反応」と「低反応」の中間だった。
ケーガンは物静かな一〇代に成長するのは「高反応」グループの赤ん坊だと予測した。
簡単にまとめるとケーガン教授は、「赤ん坊の刺激に対する反応を測定する実験」を行いました。
その結果、刺激に対して
- よく反応するグループ
- あまり反応しないグループ
- どちらでもないグループ
の3つに分類出来ることを発見し、
- よく反応するグループ =「高反応」
- 反応が少ないグループ = 「低反応」
としました。
「高反応」を示した子どもの多くが、思慮深く慎重な性格に成長しました。
一方、「低反応」を示した子どもは、おおらかで自信を持った性格に成長することが多かったのです。
これは何を表しているのかというと、
- 小さい刺激によく反応する人(高反応)= “内向性”と関連がある
- 刺激が多くないと反応しない人(低反応)= “外向性”と関連がある
ということです。
つまり、“内向性”と”外向性”の違いは、刺激レベルが違うことに原因があると分かったのです。
自分にあった場所を選択しよう
それならば、内向型の人は自分にあった場所を選択することで、自身の能力を発揮できるはずです。
学校や職場では、人の話し声や機械の騒音が多いです。
そのため、内向的な人の”刺激レベル”を、すぐに超えてしまうのです。
恐らく周囲の話に集中出来ないでしょうし、仕事だって上手くはいかないかもしれません。
しかし、内向的な人が”刺激レベルの低い“環境に身を置けたらどうなるか。
静かな環境の中で、じっくりと腰を据えて思索を巡らす。
それならば、論理的で理にかなった判断を下すことが可能になります。
苦手な環境を克服するのではなく、自身の長所を生かせる環境を探しましょう。
最後に
私自身は圧倒的な内向型人間です。
それなのに、短所を克服したいがために”刺激レベルの高い”場所へ行き、仕事に取り組んでいた過去があります。
その経験を通して分かったことは、「人の根本的な性質は変わらない」ということです。
内向的な人間が社交的になろうとしても、結局は上手くいきません。
一見上手く振る舞えているようでも、形状記憶合金のように、いつの間にか形は元に戻ってしまいます。
自身の性質を生かした場所を選択しませんか?
内向型人間が勝てるフィールドは他にもありますから。
内向型人間こそ、これからの時代で活躍できます。
流れが変わりやすく、先が見通しにくい時代において、内向型人間の持つ“自らの意志で未来を切り開く能力”は必要不可欠になるからです。
マイクロソフトのビルゲイツ、アメリカ大統領リンカーン、相対性理論を発見したアインシュタイン。彼らはいずれも”内向型”でした。
周囲から否定されようが、自分の想いを実現するために、目標へ向かって突き進む力。
これは、内向型人間のなによりの強みであります。
リーダーに必要な”判断力””決断力”だって、内向型人間の持っている強みの一つです。
社交性、コミュニケーション能力の乏しさを補えるだけの力が彼らにはあるのです。
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