残業に対する意識が変わったのは、仕事を始めて1年が経過した頃だった。
当時の僕は、サービス残業は当たり前。何もわからないんだから、ひたすら働いて、なんでも「はい、やります!」と声を上げるのが、新入社員の役目だと考えていた。
けれども、今は残業なんてなるべくしたくないと思っている。たとえ残業代を出すと言われても、できる限りしたくない。
なぜなら、定時に帰ることで、平日でも自分の時間が作れるし、余裕を持って次の日に備えられるからだ。
そもそも、自ら残業をしたい人なんているのだろうか?
家に帰りたくない事情があるとか、残業代で稼ぎたいという人を除けば、ほとんどの人は残業なんてしたくないんじゃなかろうか。それにも関わらず、周囲を見渡して見ると、「定時に上がることなんてありえない」と言っている人をたくさん見かける。
なぜ、このような状態になってしまうのだろう。
業務の効率化だけでは、定時に帰れない
いつも残業している人に対して、「業務の効率が悪いんじゃない?」という指摘がなされることが多い。もっと無駄を省いて、非効率な部分を削減すれば、きっちり定時内に仕事を片付けられるだろうと。
確かに、この意見は一理あって、業務を圧縮することで、今までと同等のアウトプットを出すことはできる。
けれども、同等のアウトプットが出せるようになったからといって、早く帰れるとは限らない。
なぜなら、業務を効率化した所で、新しい業務を振られてしまうからだ。
どこの会社も同じだと思うけれど、”できる人”に仕事は集中するし、結果的に業務量が多くなり、残業が発生してしまう。パレートの法則によると、組織の構成員は常に以下のように保たれるそうだ。
2(できる人):6(普通の人):2(できない人)
そして多くの場合、2割の人員が、全体の8割の利益をもたらすとしている。
利益を上げているということは、その2割は最も効率化を測って仕事しているはず。加えて、「効率化+追加の仕事」を行うことで、多くの利益を上げて会社に貢献していることになる。
仕事は、できる人に集中する。業務の透明化と上限を設ける必要がある
彼らのアウトプットは次第に膨れ上がっていくけれど、周囲のアウトプットは変わらないか、むしろ低下していくかもしれない。
それにも関わらず、基本的に給料が著しく上昇することはないため、効率化を測るほど、できる人が損をするという逆説が起こってしまう。
頑張っても給料は上がらず、残業だけが増えていくという困った現象が発生してしまうのだ。
これらのことから、業務を効率化しただけでは、定時に帰れないことがわかる。どうすればいいかというと、次の考え方が必要だと思う。
1. 一人が抱える業務量を透明化する
2. 業務量に制限を設ける
それぞれの業務量を透明化することで、一人に仕事が集中してしまうのを避けられる。加えて、業務量に制限を設けることで、業務を効率化しただけ、早く仕事が終われるという保証が得られる。
これら2つの意識が組織の中に定着すれば、毎日定時に帰宅できるようになるのかもしれない。
最後に
実際、周囲を見渡してみると、できる人に仕事が集中し、できない人は定時で帰宅している状態をよく見かける。
「業務を効率化すれば早く帰れる」は一見、正しいことのように思えるけれど、実際には180度異なる現象が生まれている場合もある。
そういう意味で、業務を効率化すれば、早く帰れるというのは、日本の職場では必ずしも正しいとは限らない。
自分のすべきことが終われば、さっさと帰宅できる。付き合い残業を強要されたり、周りが帰らないと、帰れないような雰囲がない職場。
そんな職場が増えることで、みんなが気持ちよく働けるようになることを願っている。