仕事

大企業の伝家の宝刀は、「理不尽なルール」と「非効率性」にあるのかもしれない

大企業か中小企業か、それともさらに小さな企業か。

就職を考える上で、どの企業に入るかは結構大切だ。
特に最初に入社した企業は、会社員生活のベースとなる。それは仕事に対する価値観や考え方に大きな影響を与える。

一般的には、大企業へ行くことのメリットがよく強調される。
安定した企業で、優秀な人たちともに切磋琢磨する。
そうすれば、仕事のスキルは伸びるし、成長できるというのが理由の一つだと言えるだろう。

大企業という選択肢

エンジニアのような職種であれば大企業を選択するのはありかもしれない。

僕自身は現在IT業界で働いているけれど、そう実感している。
例えば、小さい会社で製品を作る場合、「とにかく動けばそれでいい」といった、ひとりよがりなコードを書くコトにもなりかねない。
比較する対象が少ないので、「自分は出来る人間なのだ」と、井の中の蛙になってしまう可能性だってある。特に若い内は、色々な人のコードを見て、会って話をするコトが大切であり、思いあがるコトは危険だと思う。

一方、大企業であれば曲がりなりにも多数の資産を蓄えている。

それは、優れたプログラムコードだけでなく、優秀な人材やノウハウなど数えきれない。
研修へ行けば、体系だった学習がお膳立てされているし、大規模な開発をするなら大企業に入るのが手っ取り早いだろう。

非効率な大企業

ただ僕は少しずつ、「大企業が素晴らしい」とは思えなくなっている。

たしかに大企業でしか得られないものは沢山あるだろう。

けれども、僕は大企業に対して「非効率な組織」だと感じるようになった。

組織としては優れた資産を持っているかもしれないけれど、個人として見ると意味の分からない部分が多々ある。

例えば、「管理する」人達の存在だ。
企業は営利企業であるので、“新しい価値”を生み出さなければならない。
利潤がなければ、企業は倒産してしまうからだ。

それならば、「利益を得られるような活動に集中しよう」となるはずだが、規模が大きくなると一人ひとりの事が分からなくなる。
そのために、「人を管理するだけ」の部門が生まれる。
人の管理にコストをかけ、利益には一切帰依しないといったような場所が。

あるいは、何かの意思決定をする際に、余計なプロセスや根回しが必要だったり、権力争いや足の引っ張り合いに晒される事がある。

大企業は、「理不尽なルール」と「非効率性」を兼ね備えた組織なのだと思う。

「就職したいランキング」「働きたい企業はココ!」といった、一般的な評価をそのまま受け入れてしまうのでは勿体ない。
非効率で理不尽なルールが蔓延している環境で、「なんでこんなルールが必要なのか?」「もっと生産性を上げる必要はないか?」と考えてみることは、大切なんじゃないだろうか。

世間の評判や見方をそのまま適用してしまうのは、思考停止にほかならない。

いつの間にか、自分もそんな環境に馴染んでしまうだろう。
初めは疑問に思っていても、恐らく「これが当たり前なんだ」という風に意志が捻じ曲げられていく。

それが“会社に染まっていく”ことに繋がるのかもしれない。

最後に

大企業や中小企業という分け方をしたけれど、必ずしも「大企業だから~」「中小企業だから~」というわけではない。

結局は、企業を見るしかないのだとは思う。

大企業であっても、スピード感があって、スキルを身に着けられる場所はあるだろうし、中小企業であっても非効率なルールが蔓延している会社もある。

企業を選ぶときには、まず“その会社自身”を見ること。

周囲からの評価ではなく、自分の目で見て感じた直観に蓋をしてはいけない。
肌感覚で感じたコトは、意外と本質をついていることがあるのだから。