仕事における言い訳が、ネガティブな意味合いしか持たないかは、はなはだ疑問である。
基本的に、「言い訳」はネガティブな態度だと取られがちだ。
責任逃れだとか、反省していないとか、やる気がないとか、
プラスの要素として捉えられることは少ない。
実際に部下や同僚がうだうだ言いだしたら、「言い訳なんてするなよ」と思うことはあるけれど、
今一度その言動は、本当に「言い訳」なのかを考えてみる必要性はあるんじゃないかと思うようになった。
言い訳が解決の糸口になるかも
言い訳は自らの、身の潔白の証明だけに使われるのではなく、
なぜ問題が発生したかを解き明かすヒントにもなりうるものだ。
たとえば、仕事を任されたある人が納期通りに完成させられなかったとする。
その時に上司が「なんで完成できなかったんだ!」と怒ったとして、
「仕事を完成させるためには、人員が足りないです」と部下が答えたとする。
一般的には、「人員が足りない」というのは言い訳だと捉えられる。
限られた人員や時間の中で行うのが仕事だろう。そう反発する方もおられるかもしれない。
けれども、実際問題として、明らかに人員が欠員している可能性だってある。
最低でも3人は必要なところを1人でやらなければならないとか、急に人が辞めたとか、背景には色々な事情があるものだ。
これはつまり、失敗の原因についての情報を提供しているに等しい。
それなのに、通り一辺倒に「言い訳」だとみなしてしまうのは、状況を改善する機会をみすみす逃すことにも繋がってしまうのだ。
都合によって、意味合いは変わる
そもそも「言い訳」は状況によって、”言い訳”にもなれば、”説明”にもなる。
先ほどの「人員が足りない」という言葉は、報告を受ける側の都合によって、七色に変化する。
自分に都合が悪いとなれば、「言い訳」と捉えるだろうし、メリットになると考えれば、いい「説明」をしてくれてありがとう!となる。
また人間同士の関係であるから、好き嫌いであったり、信用や信頼など、
同じ言葉であっても受け取られ方は変わる。
どんなに素晴らしいことを言ったとしても、「言い訳」と捉えられてしまうこともあるのだ。
大切なのは、言い訳だと排除しない姿勢
また、言い訳の中には本当に理由の説明になっていないものも往々にしてある。
自己保身を目的として、聞くに値しないものも沢山あるだろう。
そんな言い訳には「説明になっていない」と指摘してしまえばいい。
おかしいものには、苦言を呈すればそれでいいのである。
「言い訳するな」という言葉自体を封印してしまう必要性はまったくないのだ。
ただ何かしら問題や失敗が発生した際に、本当の原因を考えることは重要だ。
言い訳にしか思えないことや見たくない、知りたくもない事柄の中に、意外な解決の糸口は隠れているものだ。
もしかしたら、あなたの目の前に解決のヒントは転がっているかもしれないのだ。
みすみす見逃せば、また同じ失敗を繰り返すだけだ。
いかにして次に繋げていくか。改善を重ね、よりよい状況へと持っていくか。
言い訳だと排除しない姿勢を持つことが、更なるステップへの足がけとなるのだろう。