商社で働いている時、取引先の技術者さんに、機械に対する技術を教えてもらってました。
技術を持っていれば、人を助けることが出来て、業界の中で生き残っていける、そんな風に感じました。
あの人に頼めば何とかなる、あの人にしか出来ない。
そんな声は、企業の垣根を超えて業界中に広がっていたのです。何かしらの技術がある人って素晴らしいなと思います。
でも、そもそも技術というのは、あまり重要視されてこなかったのではないかとも思います。
少ない労力で簡単にお金を得られるような職業ばかりが注目される。技術というのは、地味なオタクがやっているような暗いイメージといったように。
ただ、技術には秘められた、想像を超えた力があります。
知らずしらずの内、世の中に浸透し、みんなが気付いた時には”当たりまえ”の存在になっている。
今回はそんな”技術”について書いてみたいと思います。
なぜ技術なのか?
技術が必要な理由。それは、“替えが利かない”存在になれるからです。
身に着ける技術は別に何でも構いません。美容師は髪を切る技術を磨き、板前はにぎりの技術を磨く。
一つの技術を磨くコトで、頭一つ抜け出ることが出来るのです。
なかでも、近年注目を浴びているのはプログラミング技術です。
以前は、パソコンオタクくらいしか触れることがなかったパソコンは、誰もが利用する一般的なツールになり代わりました。その影響もあって、大勢の人が学びたがるようになったのです。
それに、これからはどんな職種であってもネットとの関連性を持つことが重要になっていくはずです。
農業をしている人は、ネット上で作物を売り、ホームページで集客を行う。
まだまだ、ネットの影響力が及んでいない業界もありますが、ネット化の流れに少しずつ飲み込まれていくことでしょう。
また、世の中に存在しているモノの多くが今後、インターネットに接続されていきます。これは、IoT(Internet of Things)=「モノのインターネット化」と言われています。
洗濯機や冷蔵庫といった家電を含め、あらゆるものがネットに繋がる。直接指を触れなくても、スマートフォンを利用することで、スイッチを入れたり、ドアを開閉できる。
ドラえもんで描かれた21世紀の世界が、少しずつ近づいてきているのです。
これは便利である反面、恐ろしいことでもあります。
人間がやらなくてもいい部分が増えるということは、人間が必要かどうかを考えることに繋がるからです。
ITについて何も知らなければ、より恐怖に感じるはずです。自分のわからない間に、なぜだか周囲の環境が代わっていく。今まであったモノや仕事が機械に置き換わっていく。
ただ、これは逆に考えると、技術についての見識があれば対応できる時代になるということなんです。
人口知能が騒がれていますが、AIも所詮は人間の生み出したプログラムです。
“機械が独りでに学習しているように見える”のは、特殊なアルゴリズムが生み出されたからに過ぎません。
人口知能がどうやって動いていて、結局は人間が制御していることが分かれば、対応できるコトもあるのですね。
2020年には、小学校でのプログラミング学習が義務化されます。子ども時代から、プログラミングに親しむ、ネイティブプログラマーたちが輩出されるようになるのです。
そうなれば、プログラミングは当たり前の技術となり、”誰もが出来る技術”になり替わってしまいます。
しかし、基本的な技術は普遍的なモノであり、生き残り続けるでしょう。
技術を磨くために、まずは基本を身に着けることが大切なのではないかと思います。
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技術の目的って何だろう?
技術の必要性について書いてみましたが、そもそも“技術の持つ目的”って何なのでしょうか。
一般的に、技術は世の中を”便利”にすると語られる事が多いです。でも、僕は本当の目的って、”標準化”なんじゃないの?と思うのです。
18世紀、産業革命の時代、多くの資本家は機械の導入を行いました。その目的は、便利な世の中にすることではなく、”自己の資本を増殖させる”ことでした。
そのためには、生産性・効率性に劣る人間を排除して、機械を導入する。機械を管理するために人間を雇うという、最も生産性の良い関係性を、機械と人間の間に求めたのです。
機械は壊れない限り、常に”同じ生産性”を生み出します。雨の日も風の日も、体調が良い悪いなんてお構いなしに、常に同じ成果を出し続ける。
つまり、資本家は生産性・能力を”標準化”することに成功したのです。
先ほど申し上げたように、確かに技術を磨くコトで頭一つ抜き出ることが出来るでしょう。
ただし、一つだけ覚えておくべきコトは、その磨いた技術もいずれは陳腐化し、”標準化”されてしまうということです。
どんなに新しい技術も、模倣が繰り返され、やがては一般的なものに成り下がる。技術革新の歴史は、その過程を幾度も繰り返してきたのです。
技術は重要なものだけれど、常に技術は標準化する
ということは心に留めておきたいものです。