今回も田原総一朗さんと若手起業による対談本『起業のリアル』という書籍をご紹介。
第1回:LINEに込められた想いは”水のようなサービス” 当たり前のインフラになるために
今日はこの書籍の中から、田原さんとチームラボ代表の猪子寿之さんの対談を抜粋してみようと思います。
チームラボと言えば、いわずとしれた最先端技術を駆使する技術者集団です。猪子さんを筆頭に、プログラマー、CGアニメーター、webデザイナーといった幅広い技術者が在籍しています。
そうした得意分野や個性が違う社員を、いかにまとめてプロジェクトを推進していくのか。猪子さんは、企業に中間管理職は必要ないと主張します。
中間管理職は21世紀には必要ない
田原:チームラボには300人のメンバーがいます。これだけの人数がいると、普通は管理が必要になります。そこは猪子さんがやっているの?
猪子:昔と違って、いままでの概念で言う管理なんて必要ないです。20世紀まではメールもインターネットも、携帯もない時代だったから、情報をやり取りするのも大変でした。
一人が情報をやり取りできる人数は限られているから、全体の人数が増えると、あいだに誰か管理職を入れざるをえなかった。そうしてピラミッド型の組織が出来たわけです。
田原:そう、日本の企業には、管理が仕事になっている管理職が沢山いる。だからブラック企業問題なんていう話になる。
猪子:でも、いまはメールで情報をみんなに一瞬で伝えたり、逆にみんなの情報を一瞬で集めることができるようになった。そうすると、もう管理職なんて要らないかもしれないですね。
これからの時代に管理職はいらない。この主張には多くの企業が反発することだと思います。
特に、インターネットの影響をそれほど受けていない業界であるほど、そんなことは無理だと思われることでしょう。
しかし、実際に社会の潮流はインターネットの影響で変化してきています。
例えば今までは、情報を持っていることで優位に立っていた商社は流通から弾かれるようになりました。
古本市場の覇者として君臨していたブックオフにおいても、消費者がヤフオクやメルカリといったプラットフォームで直接売買をするようになったため、古物を買い取り出来ない状況になっています。
現在もパソコン画面の向こうで、ネットがひっそりと、既存の業態に大きな風穴を開けようとしているのですよ。
情報は一瞬でみんなに伝わるように
管理職の主な役割は、部下たちの情報を管理し、上司に伝えることにあります。
今までであれば、一人が一度に情報伝達できる人数は限られていました。そのため、トップダウン型の組織形態においては、中間管理職が重要な役目を果たしてきたことでしょう。
しかし、メールや電話で簡単に情報を伝えられる現代では、わざわざ管理職を通す必要はないのかもしれません。
僕自身、現在会社で社員数人の情報を管理していますが、本当にこのポジションは必要なのかと感じることがあります。
メールを使えば、複数人に連絡することが出来るので、直接結果を報告してもらった方が早いからです。
IT業界に所属しているために、そう感じるのかもしれませんが、今後多くの企業が、中間管理職の在り方について考え直す段階にきているのではないかと感じています。
最後に
僕たちの時代はもう、以前のような飛躍的な経済成長は見込むことは出来ないでしょう。
一人当たりの可処分所得は減り、企業のポストも減らさざるを得ない状況です。少子高齢化によって、今後は社会構造にも大きな変化が訪れるはずです。
そんな中、中間管理職の存在をどう見直すのか。
この問題は、企業の在り方が変化していく中で、議論するべき重要な論点になることでしょう。
それでは今日はこんな感じで。
グッドラック!