仕事

「複業」は新しい働き方ではなかった | 地方では「ありふれた」労働スタイル

この記事でわかること

  • 「複業」は田舎では当たり前の働き方
  • 複業は「生き残るため」の人間の知恵

以下の記事が共感できる内容でしたので、読んでみた感想を残しておきたいと思います。
>>複業は「新しい働き方」に思えて、地方に住む人からは「昔の働き方」へ回帰しているように見える

「複業」は新しい働き方なのか?

昔の働き方に戻っている?

近年、「複業」という働き方が注目を浴びています。

こうした考え方が広まってきたのは、

仕事は一つに絞るのではなく、複数を掛け持ちし、リスクを分散する必要がある

と考える人が増えてきたからなのでしょう。

この記事の中でも記載されているように、

  • ペンションを経営しながら自然ガイドをしている人
  • 地域おこし協力隊をしながら農業をしている人

など、複数の仕事を持っている人がいます。

複業、パラレルワーカー、ノマドワーカー。

彼らのことを私たちは「複業家」と呼びます。

このような働き方は注目を集めており、時代の最先端を走っているかのように見えます。

キラキラしていて、かっこいいし憧れるという方も多いでしょう。

しかしその実態は、「昔の働き方」に回帰しているだけなのかもしれません。

地方では当たり前の日常

元々本業の他に仕事を持っていることは、地方において特別なことではありません。

例えば僕の親戚がそうです。

本業は左官屋ですが、休日になると栽培した米・かぼちゃ・白菜などの作物を地域のJAへ出荷しています。

本業を持ちながら、農業にも従事する。

こうした働き方は昔から地方では行われており、「ありふれた労働のスタイル」なのです。

これも立派な複業なのではないでしょうか。

そう考えると最近叫ばれる「新しい働き方」は、実際には新しいものではありません。

単に「昔の働き方」に戻っただけなのではないかと思えるのです。

なぜ今「複業」が注目を集めるのか?

そもそも、なぜ地方の人たちは複数の仕事を持っていたのでしょうか?

それは単純に「食べるため」というのが一番の理由でしょう。

生きるためには農業をして、作物が取れなくなれば、違う仕事をする。

リスクを分散し、上手くいかないときにも、代替手段で生きていく術を獲得する。

柔軟に環境に対応してきた結果に他ならないのですね。

こう考えると、今複業が注目を浴びている理由にも合点がいきます。

サラリーマンの「安定神話」の崩壊

現代社会はサラリーマンの「安定神話」が崩壊しかけています。

終身雇用制度は機能しなくなり、将来のポストも減っている。

保険料は年々上がり続け、将来を担う若手が生まれてこない。

同じ会社で滅私奉公したとしても、その先に待ち受けているものは、最悪の場合リストラということにもなりかねません。

そのため、複業が必要だと考えるのは無理もありません。

食べるため・生きるためには、複数の仕事が必要な状況になっているからです。

パラレルワークといったかっこいい言葉で表現されているものの、その実態は、「不安定」な時代に求められる「生き残るため」の働き方に過ぎないのです。

最後に

「安定」がなくなった末に現れてきたものが、複業である。

そう考えると悲観的になってしまいますが、本来これは「当たり前のこと」ではないでしょうか。

例えば、イワシは群れを作る代表的な魚です。

なぜ彼らが群れを作るのかというと、「食うか食われるか」の厳しい生存競争に生きているからです。

小さな魚が大きな魚から身を守るためには、群れを作ることによって、いち早く敵の存在を感知しなければなりません。

自然界では生き残るために、「生き残る確率が最も高い選択肢」を取る。

地球に暮らす生き物の大多数が生存のために知恵を振り絞り、リスクを分散して生きています。

私たち人間も彼らを見習い、いかにしてリスクを減らして生きるかを考える必要があるのだと思います。

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