世界中で新型コロナウイルスが蔓延し、終わりが見えません。
中国から始まり、欧米、アジア、ついにはアフリカへと次々に感染は拡大。
世界的大流行(パンデミック)をWHOは宣言しました。
現代に生きる僕たちは、初めて感染症の恐ろしさに気づいたわけですが、人類の歴史を振り返ると、感染症との飽くなき戦いの歴史だったことがわかります。
- 人類の歴史は、感染症と共にある
- アルベール・カミュ著の「ペスト」と現実の類似性
人類の側には、常に「感染症」があった
感染症と聞いてまず頭に浮かぶのは「ペスト」かもしれません。
この病は、14世紀のヨーロッパにおいて「黒死病」呼ばれ、恐れられました。
ヨーロッパだけで全人口の4分の1にあたる2500万人が亡くなったとされています。
また、「天然痘」は国家をも滅ぼしています。
16世紀、現在のペルーにインカ帝国という大帝国が存在しました。
その帝国は、優れた文化と技術を持ち、8万人もの兵隊で守られた鉄壁の要塞でありました。
そんな大国をスペインから来た数百人の航海者が瞬く間に、滅ぼしてしまったのです。
たった数百人の航海者が、8万人の兵隊を持った大国を滅した
なぜそのようなことが起こり得たのでしょうか?
原因はそう、「天然痘」です。
たった一人の航海者が「抗体を持たない現地人」に放った「疫病」が国を壊滅させるに至ったのです。
カミュの「ペスト」を読んで考える
感染症は、人類の歴史において、常に僕たちの側にありました。
急に現れて、喉元に刃を突きつけられる。
「助けてくれ!」といくら叫んだところで、彼らは無慈悲に命を奪い去っていきました。
1947年、フランスの作家アルベール・カミュは小説「ペスト」の中で、感染症と人類の戦いの凄まじさを描いています。
大まかな内容は、次のようなものです。
フランスのある都市で、ねずみが不審死を遂げ始めました。
その数は次第に増え続け、人々は「なにか」が起きていることを感じ始めます。
主人公の医師リウーは、その原因が「ペスト」ではないかと推測し、市長に都市封鎖を要求するのです。
しかし、受け入れてもらえません。
そうこうする内に、ペストは都市を飲み込み始めました。
日に日に死者は増加していき、ラジオや新聞は死者の情報を流し続けます。
そしてついに、街はロックダウンされてしまうのです。
中国の医師が政府に進言したにも関わらず、その声がもみ消された
状況とそっくりですね。
小説では、このロックダウンは1年近く継続します。
隣町に行くことはできず、家からもろくに出られません。
街は恐怖で静まり返り、疲弊しきっていました。
感染症という不条理の中、人々は何に救いや希望を求めるのか?
どのように生き、何が正しくて、何が間違っているのか?
彼らの姿から、僕たちは不条理とどのように向き合うべきなのか?
学ぶことができるでしょう。
「ペスト」は決してフィクションではない
この小説はあくまで、フィクションです。
通常であれば「小説ではこんな恐ろしいことが起こっているけれど、現実は大丈夫だ。
よかった。よかった。」と胸を撫で下ろすところなのですが、この作品に限っては、僕は現実とリンクしているように思えてなりません。
- 人災とも呼ぶべきような、政府の後手対応
- 世間の人々の次のような心情の変化
⬇︎
- 死者の増加が報道され始め、人々は毎日テレビのワイドショーで一喜一憂する
- 次第にその興奮は収まり、この感染症は永遠に続くのではないかと思い始める
- 希望を失い、疲弊していく
- 感染者は頭打ちになり、少しずつ下降線をたどる。
- 本当に終わったのか?
と疑いながらも、人々はわずかな望みを抱き始める
まるでこの小説が現実であるかと錯覚するほど、本書はリアリティを持って、読者に訴えかけてきます。
人類は常に「不条理」の中にある。
どれだけ文明が発達し、医療や技術が発達しようとも、人のすぐ側には天災があって、簡単に築き上げたものなど破壊される。
このような事実を、嫌でもかというほど突きつけてくるのです。
「ペスト」は今も生きている
- ペスト
- 天然痘
- SARS
- MARS
感染症にはいくつもの種類があります。
果たして人類は、それらの感染症に打ち勝つことができたのでしょうか?
答えは、NOです。
人類が唯一根絶した感染症は、「天然痘」しかありません。
その他の病気は今もどこかに身を潜めていて、私たちにいつ牙を向くかわからないのです。
感染症は近い将来、必ずまた起こります。
そのことだけは忘れないでおきたいです。
最後に
小説を読むのはちょっと…
という方は、こちらの動画を参考にしてみて欲しいです。
中田敦彦氏が「ペスト」について、「わかりやすく」概要を説明してくれています。
今の世の中だからこそ、きっと共感して観ることができるはずです。