仕事

「立場の違い」を「実力」だと勘違いしてしまうのは格好悪い

営業マン時代、とある取引先に通っていました。

納品している機械が上手く動かないので、修理をお願いしたいとのコト。

現場に到着すると、担当者が駆け寄ってきて色々と状況を説明してくれます。

どのような状況で上手く機能しなくなったのか、いつ頃から変調の兆しがあったかなど、事細かに説明をしてくれました。

「これぐらいなら直せるだろう」

そう思って修理に取り掛かった僕は、ものの数分で元通りに直すことができました。

「さあ、やるコトは終わったし次の現場に向かおう」

そう思った矢先、現場の担当者が飛んできて、僕に文句を言い始めたのです。

この記事を読むと、「立場の違いは自分の実力ではない」ことが理解できます。

“立場の違い”を強調すること

話は現場に赴いていた上司の不満から始まり、仕入先メーカーへの文句など、自分語りが続きます。

もちろん不満や苦情は誰しもが持っているでしょうが、およそ自分たちには関係のないことまでつらつらと語り出したのです。

「俺は~」から始まる話や、聞いている他人にとってはどうでもいい話が多く、周囲の方たちからも辟易しているのが手に取るように伝わってきます。

僕はというとお客さんを無下にするワケにはいかず、真剣に話を聞くフリをするしかありませんでした。

この時に感じたのはずるいなぁ〜という気持ちでした。

僕が取引先に行ったのは初めてではなく、何度も上司やメーカーの方と足を運んでいました。

その際にはニコニコとした笑顔で感謝を述べていたにも関わらず、入社1年目の若者に対しては不満の嵐。

知識や経験のない者へは、“立場の違い”を強調しているような印象を受けたのです。

“逆らえない立場”は存在する

世の中には、「逆らうことが出来ない立場」が存在します。

基本的に営業マンはお客さんに逆らえないですし、部下は上司に逆らえません。

逆らえない者に残された手段は、立場が上の者に好意を見せるしかないのです。

どんなにつまらなくても、「それは違うだろ!」と感じていても、”真剣に聞くふり“をして”ありがとうございます”と感謝を述べなければならない。

これはいわば、絶対に反撃してこない相手をサンドバックにしているようなものです。

僕は無力感とぶつけようのない気持ちを抱えることになりました。

“立場”=”実力”ではない

これと似たようなことは、至るところで起こっています。

飲食店の店員に横柄な態度を取る客や、上司が部下を叱責するなど、”立場の違い”があるところには必ず存在します。

そして“立場が強い者”は次第に”立場”と”実力”を混同し始めるのです。

部下が言うことを聞くのは、”上司である私が凄いから”だとか、店員が言うことを聞くのは、”客である自分が偉いから”だと錯覚し始めるのです。

よく考えれば分かることですが、部下や店員は与えられた立場の中で、役割を演じているに過ぎません。

立場がなければ、上司の言うことは聞かず、文句を言う客など歯牙にもかけないでしょう。

それにも関わらず、立場の違いを”自分の実力”だと勘違いするのは、非常に格好の悪いことだと思います。

偉そうな立場を取っていた人が、同僚に同じことをすれば、きっと相手にされなくなるでしょう。

店員に横柄な態度を取っていた客が、別のお客さんに対して同じ態度で接すれば、嫌われるに決まっています。

“立場による力”は、自分の実力ではない。

時々思い出して、肝に銘じておきたいものです。