電車に乗っていると、真新しいスーツに身を包んだ就活生らしき学生が目につきます。
説明会や面接を受けるために勇み足で歩く姿は、就活をしていた頃の自分と重なっていました。
当時は、大学を卒業したらすんなりと就職して、定年まで働くのだろうと思っていいました。
しかし今の自分は転職を経験し、「就活」という暗黙のレールに少し懐疑的になっています。
別に大学を卒業したからといって、みんな一斉に就活なんてする必要はありません。
それにリクナビ・マイナビといった就活サイトが作り出す
- 仕事を通じてやりがいを!
- 就活が人生を決める!
このような幻想から、脱却して欲しいと願っています。
この記事では、以下の2点を中心にご紹介していきます。
- 就活の「バカらしさ」がわかる書籍
- 就職するだけが「働く」ことではない
おすすめの本一覧
おすすめ⓵ 「評価と贈与の経済学」 (内田樹・岡田斗司夫)
就活という競争を勝ち抜いた先にあるのが、会社への「就職」という切符です。
切符を手に入れたらバラ色の道が開かれているかというと、そんな事はありません。
会社に入るのはゴールではなく、あくまでスタート地点だからです。
本書では、「他者と競争」ではなく、「共生」しなければ生きていけない時代が近づいていると語られます。
他者を蹴落とし、勝利の祝杯を挙げるのは、一人では寂しいものです。
別に就職をせずとも、人との繋がりの中で、ゆる~く生きていくことは出来るし、就職する必要すらないのかもしれません。
この本を読めば、「会社に就職すること以外の選択肢」が見えてくるはずです。
おすすめ⓶ 「断片的なものの社会学」 (岸 政彦)
就活のくだらなさを感じるという意味では、この本もオススメです。
社会学者が書いた著作という印象から、一見小難しい話が繰り広げられると思われるかもしれません。
けれども、まったくそのようなことはありません。
何かを体系的に分析して、一つの答えを出していくような、学問的な書籍ではなく、体系的に整理の出来ない想いや出来事を、淡々と記録していくエッセイです。
個人の平凡な日常は「無意味」ではなく、ある種の美しさを持っているもの。
著者の目線から語られる日常風景を、同じ視点から見つめれば、なんとなく優しい気持ちになれるでしょう。
また就活という競争の必要性が「無意味」に感じられることだと思います。
おすすめ⓷ 「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」 (今野晴貴)
(2024/11/20 22:32:49時点 Amazon調べ-詳細)
本書はNPO法人POSSEの代表である「今野晴貴」氏の「労働論」になります。
企業はあの手この手で、就活生に自社の素晴らしさをアピールします。
もちろん、社員を大切にしている企業はありますが、一方で「搾取」することを目的とした企業も存在するのです。
就活を始めると企業は、仕事や成長することの素晴らしさを強調し始めるでしょう。
しかし、その裏にはそれらを強調する「裏の理由」が隠されているかもしれないのです。
労働者はそうした「搾取」に合わないための、知識や考え方を身に着けておく必要があるでしょう。
最低限自分の身は自分で守る。
「考える力」を育くむために、最適な一冊です。
おすすめ④ 「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?」(小暮太一)
就活について書かれた本ではないものの、
- 資本主義とは?
- 給料の仕組み
- 働くとは何なのか?
といった内容が分かりやすく書かれています。
- なぜ、給与システムは年功序列なのか?
- 商品の価格はどのように決まっているのか?
- どんな働き方をしていけばよいのか?
そうした誰もが知っておきたい、根源的な問いが分かりやすく説明されているのです。
頑張って働いたところで、労働者の給与は上がりません。
マルクスの資本論を現代に応用した著者が紡ぐ、圧巻の一冊です。
https://it-information-engineering.com/capitalism
おすすめ⑤ 「文化屋雑貨店」 (長谷川義太郎)
(2024/11/20 22:32:50時点 Amazon調べ-詳細)
自分が「面白い」と思ったコトを追及していくことで、周囲に認められ、楽しみながら生きられる。
著者は有名な「文化屋雑貨店」の店主である「長谷川義太郎」氏です。
やりたい事があるけれども一歩が踏み出せない。
社会の中でなんとなく息苦しさを感じている。
そんな人は読んでみるコトをオススメします。
https://it-information-engineering.com/bunkayazakkaten
最後に
世の中には、自己啓発や就活の本が溢れています。
しかし、どれもが「仕事を頑張れ」とか「成長しよう!」とか画一的な本ばかりです。
そもそも、
- 就職とは?
- 働くとは?
一体なんだろう?
といった根本的な問いを投げかけている書籍は少ないです。
私たちに必要なのは、表面的なテクニックではありません。
「シンプルだけれど答えが難しい」問いに対して、思索する力です
物事を懐疑的にみる視点を持ち続けていたいものです。