経済ジャーナリストとして活躍し、自らの出版社を経営する筆者。学生時代に読んだ、マルクスの「資本論 」と、ロバートキヨサキ氏の「金持ち父さん 貧乏父さん」に影響を受け、お金について考えるようになります。
なぜかお金が貯まらずになくなってしまうという方、お金に振り回されてしまっている方にオススメの一冊です。
無駄使いがどうしても辞められないわけ
「金額が増えれば増えるほど、人は1円の価値を軽んじていく」(省略)
普段、あなたが使うお金の額が増えていけばいくほど、あなたは1円を”軽く”考えるようになっていきます。そして、浪費が加速していくのです。
人は大きな買い物をするほど財布のひもが緩くなります。普段は、10円、100円の差を気にして商品を選んでいた人でも、金額が大きくなると、感覚が麻痺してしまいます。
例えば、車を買う時です。新車を購入しようとすれば、少なくとも100万円という大金が必要になるでしょう。
車は色々なオプションがあるので、同じ車種でも価格差が数万円~数十万円違うものもあると思います。店員は、お客さんに買ってほしいので、より高いものを勧めてくるでしょう。
その時私たちはどう感じるのか。
きっと”数万円の差を安い”と感じ、簡単に高いものを選んでしまうはずです。
これはなぜかというと、100万円が基準になってしまっているからなのですね。高い金額が基準になっているため、まったく躊躇せずに浪費を加速させてしまうのです。
マネーリテラシーがないと食い物にされる
テレビCMなどで、各クレジットカード会社は、毎月の返済額が少なくなるような”リボ払い(分割払い)”を勧めています。(省略)
毎月の返済額が減ることは、一見”借り手にやさしい契約”のように思えます。しかし必ずしもそうではありません。
“リボ払い”にするということは、支払うべきお金を先延ばしにしていることです。つまり、その間借金をしているということになります。
お金の支払い方法は、多くの種類の中から選ぶことが出来ます。現金払い、クレジット払い、プリペイド支払い、リボ払いなどです。
お金についての知識がないと、「ゆとりを持って返済」「ポイント3倍」といった甘い言葉につられて、いつの間にか不利になる選択をさせられてしまうことになります。
本来、リボ払いはクレジットカード会社にとってメリットの大きい支払い方法です。ですので、消費者である私たちは出来るだけ選択しない方が得策なのです。
もし、そうした知識を少しで持っていれば、自分にとってデメリットになる方向に向かってしまうのは避けられるはずです。自分を守るためにも、お金について知っておくことはとても大切なのです。
上手い話しはそうそうない
うまい話しなんてない。頭では理解していても、「自分だけは特別だから」「もしかしたら…」という思いを抱いてしまうものです。
しかし、理論上”うまい話しはありえない”とわかっていたら、「もしかしたら」という希望を断ち切れるはずです。
経済学的に考えると、これはあり得ない状態です。なぜなら”利潤率低下の法則”が働き、リスクとリターンはやがてつり合うからです。
ある儲け話があったとします。絶対に儲かる商品Aがあれば、多くの人が販売したいと思うはずです。
もちろん、Aは人気商品なので販売出来た人は利益を得ることが出来るでしょう。その結果、Aを販売したい!という人がどんどん増えていきます。
しかし、Aは未来永劫売れ続けるかというと、そんなことはありません。Aを売っている人が一人増えれば、今まで自分一人で得られていた利益は半分になります。また一人増えれば3分の1に。そうして、利益は減り続け、いずれ儲からなくなる時がきます。
どんな儲け話であっても、すべてのビジネスは「他の商売と変わらない」という所まで利益が落ちるものなんですね。
そうなった時、利益を確保する時にはどうするか。もうみなさんお分かりですね。
そう、「いい儲け話があるんですよ。いかがですか?」。
そういって、他人に”うまい儲け話”を提供するのです。そして、その対価として、お金を得る。“儲け話”そのものを商品にしてしまうんですね。
簡単に儲かる。もし、そんなうまい話しをもらったら、今回の話しを少し思い出してみてください。もしかしたら、あなたは食い物にされようとしている可能性がありますから。
あとがき
“人生お金がすべてではない”。そうは言ってもお金はとても大切なものです。
衣・食・住。すべて取っても、お金がないと満足な暮らしを得ることは難しいです。
今回紹介したように、お金についての知識(マネーリテラシー)を持っておけば、世間で広まっている常識や、上手い話しで搾取されるようなことは少なくなるでしょう。生きていく知恵としてぜひ身につけておきたいものです。