コンピュータの基本

日本発のOS”トロン” 世界発はwindowsじゃなかった?

OS(オペレーティングシステム)は、コンピューターを動かすために、なくてはならない重要なプログラムです。

またの名は「基本ソフト」と呼びます。

現在、最も有名なOSとして知られるのは、マイクロソフト社が開発した「Windows」でしょう。

少しパソコンに詳しい人であれば、Mac(マック)やLinux(リナックス)の名前を上げる人もおられることでしょう。

しかしこれらはいずれにしても、海外の技術者たちが開発したものであり、日本人の開発したOSではありません。

コンピューター技術では、常に海外勢の後ろに位置してきた日本。

しかし、実は日本人によって開発されたOSが存在していたんです。

 

えっ、、、そんな話聞いたことないよ。

そうなんです、多くの日本人はその事実を知らないのです。

ですので今回は、日本発のOS”トロン”をご紹介したいと思います。

 

海外勢の開発したOSたち

Windowsといえば、アメリカのマイクロソフト社が開発したOSです。長者番付でいつも上位にくるビル・ゲイツ氏の会社です。

Macであれば、スティーブ・ジョブズの設立したアップル社が開発しました。

 

まず、先ほどからよく名前が出てくるOS(オペレーティングシステム)ですが、これはパソコンに入っている人間の脳のようなものだと思ってください。詳細が知りたい方は、下記をご覧ください。

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トロン(TRON)はなぜ知られていないのか

1980年代初頭、当時東京大学で助手を務めていた”坂村健”氏が開発リーダーとなり、「TRONプロジェクト」を立ち上げました。

トロンの開発は順調に進められ、当時のOSとしては抜群の安定感を持つまでに成長します。

そしてその功績が称えられ、ついに1980代後半には「教育用パソコン」として「トロン」を導入しようという動きも広まっていきました。

 

トロンは当時のOSとしては、Windowsにも勝る性能を持っていたのか。

また、坂村氏は

「基本ソフトは情報化社会の基盤であり、空気や水と同じ」

という考えのもと、OSの仕様を世界中の企業に無償提供しました。

OSのインフラを整備するつもりだったのでしょう。

 

アメリカの不可抗力

しかし、事は順調に運びませんでした。アメリカが介入してきたのです。

 

当時の日本は、高度経済成長を迎え、家電や自動車などで多くの市場を獲得していました。そんな状況をよく思わないアメリカは、家電などに輸出制限をかけたのです。

また、当時のアメリカではマイクロソフト社が「Windows」を開発していました。しかし性能はというと、トロンには遥かに及ばなかったのです。

現在の社会を見てもらうと分かる通り、

OSのシェアを獲得するということ=世界中のコンピュータインフラを独占できる

ことを意味します。

アメリカはどうしても、その地位を渡したくなかったのです。

敗戦国として打ち負かした日本が、OSのインフラ基盤を築けば、アメリカの威信が崩れてしまうかもしれない。

「パソコンという大きな市場」を絶対日本へは渡したくないという、強い想いがあったのでしょう。

OSのシェアを獲得すること=世界中のOSインフラ を整備することに繋がる

その結果、TRONプロジェクトは日の目を見ることなく消えてしまったかに見えました。

 

トロンは”組み込みOS”として、広く利用されている

確かにトロンはPC用のOSとして、広く普及することはありませんでした。

しかし、私たちの身の回りにある多くの組み込み製品には、OSとしてトロンが組み込まれています

家電や自動車の中にはOSが入っていて、「ボタンを押したらお湯を出す」、「電源ボタンを押したらスイッチを入れる」といった、機器の制御を行う。

そのコンピューターこそが、組み込みOSであり、”トロン”の役割なのです。

またスマートフォンにも広く利用されているのを考えると、”なくてはならないモノ”として、普及しているのが伺えます。

 

 スマホもアプリを動かすのは情報処理系OSだが、画像処理やフラッシュメモリーへの書き込み、カメラやバイブレーター、ディスプレーなどを制御しているのはトロンだ。

スマホの陰の主役は、実はトロンなのである。

参考:トロン―国産OSが世界標準になる

 

IoT(Internet of Things)時代では、トロンが支配者になる

TRONプロジェクトは1980代からの発足以降、現在も継続しています。

もちろんプロジェクトリーダーは坂村氏です。

そして、AIやIoT(Internet of Things = すべての物をインターネットにつなげる)の普及に伴って、トロンは再度注目を浴び始めているのです。

 

 

基準としての”トロン”

Windowsは、Macを除くほとんどすべてのパソコンに搭載されています。

これは、WindowsがパソコンOSの基準であることを意味します。

同様に、組み込み用OSの基準はトロンが支配しつつあります。現在では、市場の6割を超える占有率を保持しており、トロンが組み込み界の基準になりつつあるのです。

 

 

最後に

人工知能やIoTが普及することで、あらゆるものにOSが組み込まれ、いつでもどこでもインターネットに繋がれる社会が、近い将来やってくるでしょう。

その際には、トロンはあらゆる製品に組み込まれ、世界中へと羽ばたいていくはずです。

組み込み機器と言えば、日本人が開発した”トロン”だ!

そういわれる日は近いかもしれませんね。