読書

オードリー若林 キューバ一人旅で「価値観をリセット!」| 『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』

  • キューバってどんな国?
  • 「資本主義」と「社会主義」の違いを知りたい
  • オードリー若林の体験記

先日タイに旅行してからというもの、海外への興味が強くなりました。

https://it-information-engineering.com/asia-travel

実際に旅をして分かったことは、

日常とは切り離された空間へ放り出されることで、刺激や学びが得られる

ということでした。

そんな折にネットを散策していると、以下の動画を発見しました。

 

元々オードリーの若林さんは大好きな芸人で、本を読んだりラジオを聴いたりしていました。

ただ今までは旅に興味がなかったため、旅関連のトピックは見過ごしていた次第です。

しかし上記のラジオで、若林さんがキューバへ行かれたことを発見。

またキューバの他にも、モンゴルやアイルランドにも旅行されているではありませんか。

そして、その経験が書籍化されている。

これはもう買うしかないでしょう。

そう思って勢いに任せて購入したのが、本書「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」です。

日本人がキューバと聞いて思い浮かべるのは、

  • アマチュア野球軍団
  • 社会主義の国
  • クラシックカー
  • 音楽とダンス

などが大半を占めるのではないかと思います。

あるいは、作家の村上龍氏がやたらとキューバを押していることも思い浮かぶでしょうか。

旅行会社ではキューバのパンフレットはほとんど見かけませんし、友人たちからも観光で行ってきたという話は聞いたことがありません。

そもそも若林さんは、なぜキューバを訪れようと思ったのでしょうか?

実はそれには理由があって

「資本主義」と「社会主義」を相対化したい

という思いがあったそうです。

「現在」は過去の積み重ねである

若林さんは1年程前から家庭教師を雇っているそうです。

教えてくれるのは東大の大学院生で、社会に対して疑問に感じていることを質問するそうです。

例えばこんな疑問がありました。

  • 格差社会はいつ頃から始まったのか?

  • なぜ交際相手に「スペック」を求めるようになったのか?

  • なぜブラック企業が増えたのか?

普段感じている「疑問」を解消する手段として、家庭教師を雇っているのです。

ある日の課題で家庭教師から、

「産業革命以降の世界を勉強してくるように」

と告げられます。

そして日本の歴史、ひいては世界の歴史を学んでいく内に、過去の積み重ねによって、「今」があることを学んだそうです。

「資本主義社会」への違和感

特に興味を惹かれたのは、戦後の日本でした。

そこには若林さんの悩みを吹き飛ばすような内容が書かれていたのです。

新自由主義。

ぼくは20代の頃の悩みを宇宙や生命の根源に関わる悩みだと思っていた。

それはどうやら違ったようだ。

人間が作ったシステムの、一枠組みの中での悩みにすぎなかったのだ。

「ちょっと待って、新自由主義に向いている奴って、競争に勝ちまくって金を稼ぎまくりたい奴だけだよね?」

(省略)

ぼくは家に帰って本棚から自分の著書「完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込」を取り出し「おい、お前の悩みは全部人が作ったシステムの中でのことだったぞ。残念だったな!」と言葉をかけた後、ひとつの儀式としてゴミ箱に捨てた。

以前から違和感を感じていた、

  • 「競争」に対する苦しさ

  • 富の格差」に対する不平等

  • 生まれ持った「容姿や性格」に対する不寛容な社会の目

それらはすべて「資本主義という、一つの社会システムでのみ成り立つ」のだと分かりました。

それならば、そのシステムの外にいるのはどのような人間たちなのだろう?

アメリカ、東京、フランス。

どこへ行っても、マクドナルドや大型スーパーが立ち並び、みんな同じ顔をしていた。

「人の欲望を刺激する消費を前提とした社会」では、それらは当たり前の光景なのかもしれない。

けれども俺は「このシステムの外にある国」を見てみたい。

資本主義ではない国。

社会主義の国はどこだ、キューバだ!

ということで、キューバ行きを決めたわけです。

実はもう一つ大きな理由があるのですが、ここでは割愛します。

長くなりますので、ぜひ本書で確認して欲しいです。

キューバに降り立つことで見えてきたもの

キューバへ近づくにつれ、日本との違いが少しずつ浮き彫りになってきます。

空中から見える街の明かりは、限りなく少ないです。

その明かりは生活のための灯であり、夜の経済活動を前提としていません。

町へ降り立つと、辺りにコンビニやスタバなどのチェーン店も見当たりません。

看板はなく、欲望を刺激するものが周囲には存在しない。

消費すること」が正当化されていない社会がそこにはありました。

キューバへ降り立ってからの話を大まかに説明すると、

ハバナ空港からホテルサラトガ(有名ホテル)へ行くまでのタクシー運転手との攻防に始まり、人見知りガイド「マルチネス」との物語が続きます。

その後は、ゲバラ邸への訪問、闘鶏観戦、配給所訪問、サンタマリア・ビーチでのハプニングといった内容が、続いていく次第です。

特に印象に残っている話は、チェ・ゲバラ、カストロという国の英雄についてのお話しでした。

国の英雄は、「命」をどう使ったのか

カストロはグランマ号に乗り込み、キューバ格差を生んだバティスタ政権を倒すために、再上陸作戦を実行しました。

わずか定員12人のクルーザーに、82名の仲間とともに乗り込んだというから驚きです。

ゲバラやカストロに心酔してしまう若者が、大勢いることも頷けます。

ゲバラはやカストロの「命の使い方」を想像した。

日本で生きるぼくの命のイメージは「平均寿命まで、平均よりなるべく楽しく生きる」ことなのではないかと、そんなことを始めて考えた。(省略)

ゲリラ戦で命を懸けて戦って、革命を成し遂げた男たちに引け目を感じる必要はない。

だけど、ぼくは革命博物館で「命を使いたい」と思った。

それぐらい、彼らの生には私欲を超えている者特有の輝きがあった。

カストロがやったこと。考察すれば、良い面悪い面どちらもあっただろう。

だが、自分の中に確信を持っている人間が本気で喋ると、5時間以上も聞き手の耳をジャック出来るという事実に、ただただ茫然としたのである。

カストロが10時間ラップで演説をして、それを聞きながら10万人の聴衆はサルサを踊る。

そんな白昼夢を革命広場でぼくは見た。

ゲバラやカストロに心酔している者に対して、日本では「中二病だ」と揶揄される事があります。

これは大人になっても革命だとが反逆だとか言っている、

「当たり前の常識やルールに従えない者に対する、皮肉を含んでいる」

のだと思います。

もちろんそうした側面があることは、否定することが出来ません。

きっと精神的に未成熟な部分があるのも、事実でしょう。

一方で、彼らが心酔してしまうのも間違いではないのかもしれません。

上述したようにカストロは、自らの信念に従い、自らの言葉で語ってきました。

人から聞いた言葉が薄っぺらいのとは反対に、自らが導きだして発した言葉というのは、重く尊いものです。

聴衆の心を長時間射止めるだけの演説とは、一体どのようなものだったのだろう。

もしも自分がその時代に生きていたらどのように感じたのだろう…

すごく興味が湧きましたね。

最後に

キューバ危機以降、アメリカはキューバとの国交を断絶し、経済制裁を行ってきました。

しかし国交は回復されつつあり、キューバの社会主義は間もなく終わりを告げるかもしれません。

世界でも数少ない社会主義の国。

興味がある方は、本書を参考にするといいかもしれません。

意外な観光スポットが見つかるはずだし、新しい視点で日本とキューバを見つめ直すことが出来るはずです。

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