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初めての確定申告がもう目の前に迫ってきたため、”税”に関する書籍や記事を読み漁っている今日このごろ。法人向けや個人事業主向けという本はいくつもあるのだけれど、イマイチぴんとこない。というのも、大抵の本が”お店を構えてやる事業向けの本”だからです。
私のように、お店を持つことなく、インターネットの中だけで商売が完結しているような人間に適したものはないのだろうか。そう感じていた時に一冊の本が目に飛び込んできました。
それがコレ!『フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。』です。
実際に読んでみたところ、非常に分かりやすかった。小難しい説明に終始するスタイルではなく、対話形式で話は進んでいきます。今まで、”税金”というのは難しいものだからと敬遠していた人、予備知識がない人でもサクサク読み進めることが出来ると思います。
税金のプロから学ぶのは”お金”の基礎知識から
作者である”きたみりゅうじ”さんはフリーランスをしているお方。イラストレーター兼まんが家兼ライターという幾多の肩書を持ち仕事をこなしてきました。売上を上げたはいいものの、売上に対して税金を払わないといけない。なんじゃその仕組みは。
サラリーマンを辞めた当初は、確定申告の仕組みなんてわかりません。会社がやってくれていたので意識することもない。なら自分で勉強だ。そう思って書店に走った結果、筆者は気づきました。
自分と同じ境遇の人に対する本がまったくないじゃないということに。
いやいや、それがですね、「イラストレーター向け」ってのもないし、「ライター向け」ってのもないし、「まんが家向け」ってのもなかったんですよ。お店をかまえているような「個人事業主向け」ってのはいっぱいあったんですけども、そういったもんをいっさい持たない「フリーランス向け」な本というのはまるでなかったのです。
そんな折、担当する編集者さんに、「税理士さんを用意してもらって、『税金講座』を開いてもらう。僕が理解していく過程を本にしたらどうですか?」と提案してみたらあっさりとOK。そんなきっかけで本書の執筆は始まったのだとか。
中身を覗いてみると、「税金ってなんだ?」から始まり、控除、保険、記帳の方法、納税というように、段階を踏んで少しずつステップアップして学べる形になってます。専門家に教えてもらう時にありがちな、専門用語を多用した説明ではなく、素人でも理解できるようにかみ砕いて説明してくれるのはありがたいです。
また、会話もテンポが良くてすっと頭の中に入ってきます。生徒と先生の掛け合いで話が進んでいく形式。イラストや図も多めに載せられているので、視覚的に学習していくことが可能です。
以前にご紹介した『フリーランスの教科書』と同様、フリーランスになり立ての方は携帯しておいて損はしないと思いますね。
ちなみに、話しはこんな感じのテンポで進んでいきます。
先生:「ふむ、なんだかうなだれてますね。じゃあ社会保険まわりもちょっとお勉強しましょうか」きたみ:「え、センセー社会保険の事もわかるんですか~」先生:「あたしゃ社会保険労務士の資格も持っているんですよ。それでまぁイロイロとね。ふっふっふっ。」きたみ:「じゃ、さっそくお願いします」
塾の先生にわからない所を聞いてるノリで会話が展開されるので、頭に入ってきやすいんですよね。
薄いようで濃いお味になっております
もちろん、こんな感じで話が展開していくものの、内容は決して薄くありません。「税金が生まれた成り立ちは江戸時代にさかのぼる」という歴史を紐解きながら、目的までの土台を作っていく。
多くの入門書が、「○○税とは」という項目を箇条書きで並べ、淡々と説明していく色が強いのに対して、本書は全体像を説明した上で細かい説明に入っていく次第です。
「累進課税」「所得税」といった内容からではなく、まずは”税”そのものを知ってもらう。これが分かりやすさの秘訣になっているんだと思います。
続く2章では「社会保険」、3章では「記帳の仕方」、「納税の申告」「消費税」「法人化」「税務調査」といった具合でどんどん内容は深堀されていく感じ。
今すぐに「法人化することもないしな」「今は白色申告で十分だし」といった方でも、必要な箇所だけを読んでおく。あとは必要に駆られたときに読み返せば十分です。それに、知っておいて損しない知識ばかりなので、豆知識として取り入れておけば思わぬところで役に立つ機会がやってくる可能性もありますよ。
単行本のため、若干お値段は高いですが、内容に対する価値は十分あると思います。ウェブで断片的な知識を拾ってきて組み合わせるのではなく、一冊の本を読んで体系的に知識を整理しておくコトが重要だと思いますので。
フリーランスの方、あるいは僕のようにサラリーマンではあるけれども確定申告が必要な方。ぜひ読んでみることをオススメします。