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歴史からすべてが”学べる”ってホント? これからの時代の歩き方! 

IT技術の進歩によって、社会は変革の節目を迎えたと言われています。

インターネットやAIの登場によって、国民国家の立場は弱まっていく。

その代わりに、GAFA(Google,Apple,Facebook,Amazonの4企業をまとめた総称)のような、グローバル企業は強大な力を持ち、国境を越えて世界中に影響力を持ち始めています。

かつての植民地支配のような”分かりやすい”支配ではなく、水面下での”見えない”支配が進行しているのです。

あまりにも変化のスピードが速いので、僕たちの将来ってどうなっていくんだろう。

そんな不安を感じる人も多いのではないかと思います。

転換期となっている今だからこそ、歴史から未来予測をしていくべきだと思うのです。

産業革命による変革の時代

そのためには、少し歴史を振り返ってみたいと思います。

18世紀後半、イギリスでは産業革命が起こりました。便利な機械がどんどん発明され、僕たちの生活に入りこんでくるようになったんですね。

手間暇かけて作っていた洋服は、簡単に機械で織れるようになりました。

工場が次々と建てられ、物を大量生産できる環境が整っていったのですね。

そしていつの間にか、私たちが行っていた仕事は機械が変わりにやってくれるようになりました。

機械がやってくれるから楽でいいや。

そう思っている人もいましたが、実際には正反対の事が起こるようになります。

資本家は、労働者を馬車馬のように使い始めました。

一日に10時間以上もの労働をさせるにも関わらず、週に休みは一回のみ。

子どもだって仕事に行かなければならないので、学校すら行けない状態になってしまったんですね。

未来を担う子供たちの成長は阻害され、大人は日々の生活で疲弊していく。

次第に働いている人たちの中で、不満の声が高まっていったんです。

また、「自分の仕事が無くなってしまうんじゃないか」「機械さえなければなぁ」と感じる人が沢山いて、機械を壊して回る運動(ラッダイト運動)が各地で広がっていったのですね。

枠組みが変化していく

このように新しいモノが出てくると、初めは反感を買うことが多いです。

ホリエモンがメディアに登場した時も、世間ではバカにされていましたし、インターネットも当初はオタクだけが知っているマイナーなものに過ぎませんでした。

しかし今では、時代の中に浸透し、世の中に大きな影響力を持っています。

機械だって、今では僕たちの生活にとって欠かせないものになっているはずです。

新たな発明によって、社会の構造が変わり、生活の在り方まで変えていく。

それはじわじわと世の中に広がっていき、いつの日か”当たり前”の存在へと変化していくのです。

IT革命もこれと同じこと。

ひっそりと人々の考え方や生活スタイルを塗り替えようとしているのですよ。

世の中にある仕事の半分が消える?

アメリカのオックスフォード大学である研究が行われました。

内容は”未来の労働”を予測するというもの。

人口知能の研究を行っているマイケル・A・オズボーン教授は、『雇用の未来ーコンピュータ化によって仕事は失われる』の中で、「今後10年~20年程で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化される可能性が高い」という結論を導きだしました。

今ある仕事の半分が消えてしまう。

そんなバカなことがあるか。

そう思われる方も多いでしょうが、これは決して絵空事ではありません。

例えば今話題のビットコイン。

もしビットコインが世の中に流通し、みんなが使うようになるとどうなるか。

きっと仲介役である銀行は必要なくなるでしょう。

メルカリやAmazonをみんなが利用するということは、消費者同士が直接やり取りを行うということです。

そうなると、リユース業者(ブックオフなど)の存在価値はなくなってしまいます。

“絶対に潰れない”、”企業的価値が高い”

そう思われていた企業でさえ、危機的な状況に追い込まれていくのです。

IT技術は、人と人との直接的なやり取りを可能にします。

仲介役を取り除き、web上の小さな点である個人個人が直接繋がるコトが出来る。

世界中の人々にいつでも、リアルタイムにアクセスできるという、奇跡的な状況を僕たちに提供してくれるのですよ。

今はどの時代に似ているのか

では、これから変化していく時代に対応するためにはどうすればいいのか。

歴史に学ぶのが一番賢いやり方だと僕は思います。

ただし、似ている時代をそっくりそのまま現代に当てはめるだけでは不十分なのですね。

一見似たように見える現象でも、その現象を引き起こした社会的な条件や前提は異なりますから、安易なアナロジー(類推)は危険だと思います。

このように、短絡的に時代を結びつけてはいけないのです。

たとえば、「ローマ帝国の末期と、今のアメリカは似ているという議論がありますが、

テクノロジーが発達して情報が即座に手に入る現代と、

「早馬とローマ街道(古代ローマ時代に主要鳥を結ぶようにつくられた道路)だけ」で情報と人の行き来を行っていたローマ帝国では、

状況がまったく異なります。

ですから、現象面だけを比較すると、本質を見誤ってしまうでしょう。

歴史に”学ぶ”コトと”繰り返す”コトは違う

似ている時代を考えるのは面白いことではありますが、実際にはあまり意味がありません。

大切なのは、”なぜ”と問いかけ、理由を考えること。

ベースが違うから、同じことは絶対に起こりません。

たとえば、「円が高くなる」のも、今日、円が高くなったのと、1か月前に円が高くなったのとでは、理由がまったく違うんです。

もちろん、歴史から学ぶことは出来る。

歴史の教訓は間違いなくある。

けれど、歴史から学ぶことと、歴史が繰り返すことはまったく違います。

現在と過去は繋がっていて、似ている部分はもちろんあるけれども、すべてが同じではありません。

その時々の状況・背景がまったく違うからです。

過去の出来事をアップデートして、今の状況と照らし合わせること。

大きな流れの中で「今」を捉え直すことが大事なのですね。

最後に

“歴史”を振り返れば、学べることはたくさんあります。

過去に生きた人々の知恵のすべてが、そこには存在するからです。

過去から学んだコトを、現代に適用し、アップデートしていくこと。

更新を繰り返しながら、「今」を見つめ直すことが大切なことなのです。

参考文献:人生100年時代のお金の不安がなくなる話 (SB新書)