1991年に、古本を扱うブックオフコーポレーションが、中古本市場に革命を起こしました。
本の綺麗さという基準のみで買い取るそのスタイルは、古本目利きの必要性を排除し、マニュアル買取を可能にしました。
加えて、大企業特有の薄利多売での商売形態は、多くの古本屋を厳しい状態にさらしてきたのです。
しかし、そのブックオフが現在危機に立たされていると、「ガイアの夜明け」において特集されていました。
現在、「リサイクル」「リユース」といった中古品市場に変化が起きています。果たして一体何が起きているのでしょう。
その謎に今回は焦点を当てていきます。
商品の多角化に乗り出した
ブックオフは従来、本やCD,DVDをメインに取り扱ってきました。
けれども、現在、電子書籍やネット動画の台頭もあって、徐々に売り上げが落ちてきているそうです。なんとか売り上げを上げなくては。
そこで、乗り出したのが、商品の多角化戦略でした。
家電からブランドまで何でも買い取ります
番組で紹介されていたのは、東京・目黒、自由が丘駅。駅の近くに「ブックオフ自由が丘駅前店」があります。
この店舗が取り上げられた理由は、他の店舗にはない、「総合買取窓口」の存在にあります。
この買取窓口。名前の通り、ほとんど何でも買い取る画期的な窓口です。
窓口ではエレキギター・高級ブランド品・骨董・絵画といった、目利きが難しい商品が沢山持ち込まれます。
けれども、ストアマネージャーの佐々木雄大さん(34歳)は確かな目利きで、常連客が納得する査定価格を提示します。その結果、多くのファンを獲得していきます。
目利き人材の育成が課題
ただし、この多角化戦略の問題は「目利き」が非常に難しいことにあります。
今までの商売形態であれば、「商品の綺麗さ」を主な査定ポイントにすることで、買取方法のマニュアル化を行うことが出来ました。
しかし、高級ブランド品や絵画などを扱うとなると、話は違ってきます。商品によって見るべき観点が異なるため、幅広い知識と眼力が必要となるのですね。
そうした人材に成長してもらうためには、時間もかかりますし、人材育成の仕組みを整える必要もあります。
今後、ブックオフはどのようにして人材育成を行っていくのか気になるところですね。
新興勢力がやってきた
そもそもなぜ、ブックオフが多角化戦略に乗り出したのか。
先述したように、電子書籍やネット動画といった新しいメディアが現れたことは大きいです。それに加えもっとも大きな新興勢力が現れたのです。
それは「メルカリ」というスマートフォンアプリ。
フリーマーケットのように個人間での売買を提供してくれるというものです。
簡単、かつ高値で売れるこのメルカリ。僕もよく使用しているのですが、“使い方が簡単でしかも商品が高値で売れます”。
使用方法はというと、売りたい商品の写真を取って、出品ボタンを押す。商品説明や売りたい値段を設定すればそれで終了です。
また、中古ショップのように商品の買取制限もなく、”何でも商品”になります。
一時期、”お金そのもの”が商品になるという特異な現象も現れ、世間を賑わしていました。
そして最大の魅力は、なんといっても高値で売れるということ。好きな値段設定が出来るため、思いのほか高額で売却することも可能なのです。
日本版「ebay」になるかもしれない
世界では、消費者間同士で売買を行うことが出来る場がいくつかあります。例えば、「ebay」。
このサイトには世界各国の人々が登録しており、海外の一般人と簡単に商品の売買を行うことが出来ます。(もちろん英語が少々必要ですが。)
商品の売買はあくまで消費者同士が直接行う。
企業は、決済方法の整備を行ったり、トラブル時に仲裁を行う程度です。これに近いものが、「メルカリ」です。
ebayと似た性質を持っており、現在ではイギリスや米国といった、世界各国にも進出しています。
機械の力が市場に革命を起こす
先ほど、ブックオフコーポレーションが商品の多角化戦略を行っている。そのためには、目利きの出来る人材の育成が必須だとお話しました。
しかし、メルカリではその人材すら不要かもしれないのです。
というのも、メルカリは現在ブランド品の最低を行うアプリを配信しました。
アプリの仕組みはというと、査定したいブランド品をスマートフォンでかざすと、詳細な情報がスタッフに届き、情報を入力していきます。
そしてどんどん機械に情報を蓄積し、値段を割り出すというのです。
近年AI(人口知能)が活用され始め、特定の分野では人間の能力を上回るものも出現しています。
機械の力によって、もしかすると目利きは不要になってしまうかもしれません。
そうなると、ブックオフにとっては大きな脅威になってしまうでしょうね。
あとがき
今回、「中古市場に異変が起きている」ことについてお話してきました。
インターネットの台頭によって、「店舗に言って商品を買う」という従来のあり方から、「消費者間の直接売買」へと市場が移り代わりつつあります。
また、今後AIが成長すればよりその傾向は強まっていくのかもしれませんね。