文章を書く場面が、増えています。
仕事上のやり取りは、電話ではなくメールで行う。あるいは、IT企業などでは、LINEで連絡することが、一般的になりつつあります。
そのため、以前に比べると電話によるやり取りはもちろん、対面的なコミュニケーションを行う機会は減っているのです。
電話が発明された頃、電話越しでのコミュニケーションが重要視されるようになりました。今後は同様に、文章力が重視される時代がやってくるのでしょう。
文章が上手く書ける人は、将来多くのメリットを享受できるのです。
SNSを利用した、友人や恋人との会話。メールを利用した、仕事での交渉や折衝。
このようなあらゆる局面で、「人間関係を築く能力」と関わってきます。
インターネットが世界中に広がった現代において、
「文章力がある=他者との円滑な関係を築く能力がある」と、言い換えられるのかもしれません。
ただ、このように文章力が強力な武器となったのは、最近のコトであります。
なぜなら従来、文章力が重視されるのは、作家やライター・記者といった、特定の職業に偏っていたからです。
しかし今、それ以外の人にとっても、文章力の必要性が増している。
今まで文章を書く機会が少なかったのに、急に必要となれば、多くの人は戸惑います。私自身もまったく同じ気持ちを抱いています。
けれども、社会は今後も変化していくでしょう。
近い将来、人口知能はあらゆる場所で利用され、物のIot(モノのインターネット化)は加速していきます。
そうなった時、今よりも文章力の重要性は増しているはずです。
私たちは、そんな時代の流れにどうやって対応していけばいいのか。
今回は、文章が苦手な人でも、上手く考えをまとめる方法をご紹介したいと思います。
Contents
断片を繋げる文章術

文章を書く際の有名なテクニックの一つに、KJ法があります。
KJ法とは、
「バラバラに散らばっている情報から必要なものを取り出し、整理してまとめる手法のこと」を言います。
考案者である、文化人類学者の川喜田二郎氏(東京大学名誉教授)のイニシャルを取って、”KJ法”と名付けられました。
文章力は言うなれば、アイデアに似ています。単語と単語を組み合わせ、一つの文章として成り立たせる。
そのつなぎ目が少し違うだけで、文章のリズムや景観は一変してしまうのです。
そして、アイデアというのは、いつひらめくか分かりません。時と場所を選ばず、突然頭の中に浮かんでくるものであります。
ただ、『アイデアの作り方』の中で”ヤング”が指摘するように、アイデアが生まれるまでには、5つのステップを踏まなければなりません。
アイデアが湧いてこない場合、以下のステップを踏み忘れているのかもしれません。
- データ集め
- データの咀嚼
- データの組み合わせ
- 発見した!の瞬間
- アイデアのチェック
アイデアの想起を必要とする、”文章を書く”という作業にとって、
「データを集める ⇒ データを読み解く ⇒ 組み合わせる」
というプロセスは、欠かせないモノであり、有効な手段であるコトが分かりますね。
KJ法は、文章を書くための一つのテクニックです。
無数の情報を集め、整理し、組み合わせるコトで、アイデアが湧いてきます。
その湧いてくるアイデア = 文章なのです。
企業や学校でも取り入れられている

なぜこのような手法が、生み出されたのか。
それは、文化人類学では様々なフィールドワークが必要になるからです。
フィールドワークで得た、数々の発見と手に入れた膨大な情報をまとめることは、とても難しい。
その問題を解決するために、KJ法は生まれました。
付箋などに情報を散り散りにまとめて、後で統合する。
バラバラで規則性や関連性がよくわからない情報を、適当に書きだしてみる。
すると、それらの間には意外な関連性があると分かってきます。
関連性のない事柄に関連性を見出し、繋ぎ合わせること。
情報を取捨選択し、まとめる中で、新たなアイデアは生まれてくるのです。
あまりにも有用な手法のため、現在では多くの企業や学校、教育の場でも用いられています。
実際にKJ法をためしてみよう

KJ法を行うために必要なモノ。
それは、思いついたことを書き出していくための、ノートや付箋です。パソコンの方が思いつきをまとめやすい場合は、別にそれでもかまいません。
まず初めに、テーマを決めます。
例えば今回の記事内容は、KJ法を使って書いてみました。
テーマは
“文章が苦手な人でも、上手くまとめられる方法“ということで、考えています。
テーマが決まれば、次はアイデアの書き出しです。
思いつくことをひたすら紙に書いてみます。それぞれの紙に1つの発想で区切って、書き出してみてください。
頭の中に思い浮かんだものだけでなく、調べてきた情報でも、テーマに関係していそうなものでも、何でもオッケーです。
バラバラの情報を分類する

次に無造作に書きだされた情報を、グループ化する作業です。
内容が類似しているものをまとめていきます。分類の方法には、特に決まりがありません。
「これとこれは関連してそうだ!」、とみなさんが思われたものを組み繋げてみてください。主観的な視点で大丈夫です。
ただし注意が必要なのは、どこのグループにも属さないアイデアの存在です。
それらは使用しませんので、端っこにどけておいてください。
名前をつける
グループ化が終われば、それぞれに名前をつけていきます。
例えば、「鉄棒」「ブランコ「すべり台」という単語がグループにあるのであれば、「公園」という名前をつけます。
どんな名前をつけるかは発想しだいなので、センスが問われるかもしれません。
グループを関連付ける
まとめたグループごとに、名前をつけていきました。
すると、今までは別々のものだと思っていたグループに関連性が発見できるかもしれません。
もし、関連性が見られるようであれば、グループを隣同士にしておきます。
こうすれば全体像が見やすくなり、関連付けがしやすくなります。
全体をまとめ、一つに繋げる

最後に、グループとしてまとめた内容を吟味しながら、グループ間を繋げていきます。
その際に、
- 起承転結を帯びた文章をどうやって作ろう?
- 接続詞は何を用いたらいいか?
を見当します。
接続詞はどれを使うかで、文章のリズムや読みやすさが一変します。
「私はKJ法の素晴らしさを実感しています。」
「私はKJ法が素晴らしいことを実感しています。」
これらは同じ意味を持ちますが、読者の受け取り方は異なってくるでしょう。
接続詞は文章にとって、「接着剤」のようなもの。
繫ぎ目をしっかしと合わせないと、後々ほころびが出てくるかもしれません。
慎重に選ぶようにしたいですね。
最後に

一度やってみるとわかりますが、KJ法を使うと、文章は格段に書きやすくなります。きっと苦手意識も少なくなるはずです。
今までであれば、1から順番に書く内容を考えていたはずです。その結果、すぐに手が止まっていたかもしれません。
けれどもこの方法なら、
- 思いついたコトをとにかく書きだす
- あとでまとめて分類する
というプロセスを辿るため、その時に思い浮かんだ内容を留めておくことが出来るのです。
文章が苦手で上手くまとめられない
そんな方にこそ、ぜひ一度試して欲しいと思います。