読書

【藤子・F・不二雄の発想術】”創造”の秘訣は”既存の組み合わせ”と”普通の人プラスアルファ”

小学館から発行されている「藤子・F・不二雄の発想術 (小学館新書)」という本を読みました。

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この本の特徴は、過去に藤子先生が新聞やインタビュー・雑誌などで語った言葉を再編し、一冊の本としてまとめたことにあります。

幼少時代に藤子少年が考えていたことや、国民的大作家になるまでの道のり・作品の創作方法などが1冊の中で納められており、藤子先生の魅力が詰まった書籍になっています。

この記事では、その中でも「ドラえもん」や「パーマン」といった国民的作品を生み出した先生の”創造術“についてご紹介したいと思います。

なぜアイデアが尽きないのか

“おばけのQ太郎”・”パーマン”・”ドラえもん”と数多くの名作を生み出してきた藤子先生。

どうして次々と湧き出る泉のように考えが浮かんでくるのでしょうか。

本の中では次のように語られています。

このアイデアというやつ。

これはべつに、頭の中の倉庫から必要に応じ、一個ずつ取り出して・・・というものではないのです。

まんが家は、問屋や取り次店ではなく、メーカーでなくてはならない。

要するに、締め切りが迫ると机に向かい 、あるいは喫茶店で、あるいは寝床の中で、ナントカカントカひねり出すわけです

膨大な作品の数々を生み出してきた藤子先生であっても、作品のアイデアが思い浮かぶまでは、考え抜かないといけないんですね。

あれだけの作品を書かれているので、勝手に次々と考えが浮かんでくると思っていたのですが、実はそうではないのです。

僕も現在ブログを書いている途中で、アイデアが思い浮かばずに頭を捻ることがよくあります。

ですので、藤子先生も同じように悩まれた末に物語を創造されているというのは非常に勇気がもらえますね。

幅広い知識・経験が必要である

そして考え抜いた末、なぜアイデアが湧き出てくるのか。

新しいものが創造されるときには、何もない所から突然そのアイデアが湧いてくるわけではないと藤子先生は言います。

のびたの恐竜という作品があります。「恐竜」という断片が 核になっています。

これが古代の生物であるということは、すべての人が持っている知識です。

これを、のび太という少年と組み合わせることから「ナントカカントカ」が始まるわけです。

時代のギャップを埋めるために、「タイムマシン」 という断片が援用される。

「動物を飼いたがる子」「飼いたがらない親」「化石」「風呂敷」「住宅事情」・・・。

その一つ一つをとってみれば、誰もが知っている断片を組み合わせることによって、この作品は成り立っているのです

なるほど。

一つ一つは誰もが知っている当たり前の知識であっても、組み合わせによって新しいものになるのですね。

よくよく考えると、このような商品はたくさんあります。

例えばiPhone。

現在では「携帯電話 = スマートフォン」だと考える方が多いでしょう。

ただ、このiPhone。

特段新しい技術が使われているわけではありません。

今まで銀行のATMなどで使用されていた、タッチパネル技術とシンプルでかっこいいデザインを組み合わせたに過ぎません

しかし、そのような組み合わせがなかったため、新しい商品として世の中に認知されるようになったのです。

このように新しい商品を生み出すためには、モノの組み合わせを考える必要があります。

そして“モノ”の元となる多くの知識や経験をたくさん持っていることが大切なのですね。

普通の人プラスアルファたれ

人気作品を生み出すためには、人と違ったことをしなければいけないのではないか?と考えてしまいます。

しかし、藤子先生はそれではいけないと言います。

大勢の人が喜ぶということは、共感を持つ部分が、そのまんが家と読者の間にたくさんあった、ということです。

かたよったものの見方や考え方をする人は、大勢の共感を得ることは出来ない。

そのうえで、ただ本当に普通の人であったのでは、まんがなんてものは描けません。

プラスアルファ、何か自分だけの世界を一つは持っているべきである

人気漫画を描くためには、まずは多くの人と同じ、「普通の人」であるべきである。

その上で「独自の世界観」を持つ必要があるのですね。

簡単なことのように思えますが、これはとても難しいことのように感じました。

なぜなら「普通」と「個性」を両立することは、難しいと思うからです。

普通であろうとすれば、個性は消えてしまいます。

その逆もしかりです。

ちょうどいい塩梅で、普通に個性をプラスアルファするという感性。

やはり、藤子先生はすごいと改めて思い知らされます。

最後に

今回は「藤子・F・不二雄の発想術 (小学館新書)」の中から、「創造する」ことにスポットを当てて、胸に響いた言葉を取り上げました。

藤子先生は誰にでも分かる平易なことばを用いて物事を説明されます。

それにも関わらず、心の奥底に染み込んでくるような文章になっていました。

この本を読めば、そんな優しい言葉たちの中からきっと心に響くものが見つかることでしょう。

ぜひ一読してみてください。

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