仕事

物を売る技術が陳腐化しないのは、日常が”営業”で溢れているから

営業の仕事を辞めて、約2年が過ぎました。元々、人と会話したり交渉したりする営業という職種は、私にとっては適していないと思っていたため、今後やることはないだろうなと思っていました。

確かに、もう「営業職」として働くことはないかもしれません。でも、普段の何気ない場面において、私は「営業」をしているのではないかと思うようになりました。

そう考えると、過去に得た営業の知識・能力は、普遍的なものであり、陳腐化しないものなんだと感じるようになったのです。

今回は、なぜ営業の技術、すなわち物を売る技術は陳腐化しないのかを書いていきたいと思います。

物を売るのも、自分を売るのも同じこと

例えばみなさんが、アパレル会社に所属していて、お店で洋服を販売しなければならないとします。まずここで必要なことは、商品の知識を身に着けることでしょう。

売りたい商品と他の商品はどこが違うのか、メリット・デメリットはどこなのかなど、顧客にとって有益な情報を手に入れておく必要があります。

そうして初めて、顧客相手に商品を薦めることが出来るわけです。ただし他にも、さらに大切な要素があるのを忘れてはいけません。

それは、「洋服」という商品よりも、「自分」という商品を顧客の前に晒しているということです。

多くの人は、“商品さえよければ売れる”と考えがちです。

しかし、よく考えてみて欲しいのです。私たちが商品を買う時に重視することはなんでしょう。

商品の質?店員さんの人柄?店舗の雰囲気?

実は商品以外にも考慮している要素が沢山あるはずなのです。そして、その中でも、店員さんの人柄というのは、顧客が買うか買わないかにとって、非常に大きな購買要素になっているはずです。

もし、横柄でイラッとする店員さんに自分の買いたい商品を薦められたら、みなさんは購入されますか。僕なら、別の店舗に行って同じ商品を購入しますし、みなさんも同じなのではないかと思います。

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どんな仕事でも「営業」をしている

私は、現在IT企業で働いています。普段はパソコンと向き合って仕事しているため、他者と話すことは多くありません。

ただ与えられた仕事を淡々とこなし、素早くミスなく任務を遂行していくことを目標としています。それに加えて、頼まれた時には「わかりました」と返事をする。たとえ忙しくても、否定的な返事をしないことによって、「声をかけやすい」、「頼みやすい雰囲気」を作っているのですね。

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これらは一見、営業とは何の関係もないように思えます。けれども実はこれらの行動は、営業を行っていることと同じことなのですね。

ミスをしなければ、「あいつに任せれば余計な手間がいらずに安心してお願い出来るな」と上司は思いますし、「すぐに取り掛かって仕事を終わらせてくれるので、緊急な仕事でも頼める」と感じることでしょう。

加えて、常に「わかりました」と返事をしてくれて断らない。頼みやすく、ミスなく、早いとなれば、どんどん仕事を任せてくれる可能性が高くなります。

僕が普段から、ミスなく・素早く業務を行うことは、上司が誰に頼もうかと迷った時に、「自分」を選択してくれるように仕掛けられた、営業行為に他ならなかったのです。

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最後に

物を売るためには、商品についての知識が不可欠です。しかし、それ以上にその人の持つ「魅力」というのが大切な気がするのです。

あの人の話を聞きたい、あの人の薦めるものなら大丈夫だろう。

そういった個々人が持つ、人としての魅力を磨くことこそが、営業にとって最も重要なことであり、その”魅力”という基盤を築くことが、どんな商品を売る時でも役に立つ能力ではないかと思うのですね。

誰もが知らずしらずの内に、こうした「営業」行為を行っています。

そして、その何気ない「営業」は”物を売る”ためには、”自分”を売ることの必然性を認識させてくれるのですね。

誰しもが、基盤として身に着けておきたい能力なのです。