仕事

フリーランスに憧れるのは、ちょっとまって!

ネット上を散策していると、「サラリーマンなんてもう古い、これからは個人の時代だ」。

そういった、フリーランスや起業を礼賛するような記事をよくみかけます。

起業すれば、社長になれば、儲けの多くは自分の手元に入ってきますよ。フリーランスになれば、働く場所を自分で選べて、なおかつ時間も自由に決めることが出来ますよ、といったように。

確かにこうした意見を耳にすると、起業やフリーランスになることは良いことづくめのような気がしてきます。

でも本当にそうなのでしょうか。

実際は、失敗すれば借金を背負うリスクもありますし、時間や場所を自由に選べるということは、裏を返せば自分をしっかりと管理出来なければいけません。

稼ぎはすべて自分次第なので、時間の管理が出来ないと仕事になりませんしね。

このように、必ずしもメリットばかりではないのですよ。

今回は、近年の風潮である「サラリーマンは古い」という言及に疑問を感じたので、サラリーマンであることの良さついて考えていきたいと思います。

会社員はいつ生まれた

そもそも会社員という生き方は、いつ頃から始まったのでしょうか。

株式会社は1602年に作られた、「東インド会社」が始まりだと言われています

当時のヨーロッパでは、香辛料や新たな土地を求めて航海を行うことが、大きなビジネスチャンスでした。

けれども、船員の雇用・燃料・食料といった多くのコストがかかるため、多くの資金を集める必要が出てきます

この問題を解決するための仕組みが株式会社なのですよ。出資を募り資金を調達する。そして、渡航が上手くいけば出た利益を還元する。

こうして現在の株式会社と同じ仕組みが生まれたのですね。

戦後の日本で主流になった

第二次世界対戦を行なった日本は、国土の多くが焼け野原となりました。

農作物やお店はすべて無に還り、一からすべてを築き直す必要があったのです。

ですので、戦後の日本では個人で行う商売がほとんどでした。例えば商店街でみる、酒屋・精肉屋・八百屋といった個人商店がそうですね。

現在のような大企業はほとんど存在しなかったのです。

Japan as no1と言われる時代

しかし、1960年頃になると日本は高度経済成長期に入ります。

1964年には東京オリンピックが開かれ、世界中の注目を浴びました。

加えて、3Cと呼ばれるカラーテレビ・クーラー・自動車も生まれ、日本は世界を相手に数多くの商品を輸出しました。

その結果、社会は繁栄し、焼け野原だった日本は世界有数の工業国へと成長を遂げたのです。

サラリーマンは羨ましい存在

当時の人々の認識では、サラリーマンは羨望の眼差しで見られるような存在だったんですよ。

なぜかというと、個人で商売を営んでいる場合、毎月の給料は保障されません。

明日もお店が存在するかはわからない。

そんな不安な状態の中でお店を切り盛りしていたんですね。

けれども、サラリーマンとして勤めれば毎月の給料が保障されます。

現在のように企業の平均存続年数も短くはなかったため、なんとかして「サラリーマンになって安定した給料を得たい」。

多くの人がそう思っていた時代だったんです。

1円を生み出すことは大変なこと

現在では時代の流れもあり、安定が保証された”正社員”になれる人の数は減少しました。

その代りに、派遣社員・契約社員といた雇用形態も生まれ、企業が社員の首を切りやすい状況に拍車が掛かってきています。

加えて、長時間労働や賃金減額など、労働者にとっては苦しい状態になってきているとは思います。

けれども実は、仕事が用意されていて、業務をこなせば給料が貰えるという状態は、非常にありがたいことなのですよ

自分で、一からお金を生み出そうと思えば、数十時間働いても1円すら稼ぐことが出来ないかもしれません。

一度商売をしてみればわかりますが、自分の力で1円を生み出すということは、とても大変なことなのです。

そう考えると、企業に勤めて定期的に給料を受け取れる、会社員という働き方はとても恵まれているのですよ。

あとがき

今回は「サラリーマンの良さ」について書いてきました。

現在では、会社員は一般的な働き方ですが、50年程前には誰もが憧れる存在だったんですね。

もし、「サラリーマンなんて…」と思っている方がいれば、いま一度自分の受けているメリットを考え直してみるといいかもしれないですね。

きっと恵まれている立場に自分がいることに気付くはずですよ。